著者
金原 俊輔 Shunsuke Kanahara 長崎ウエスレヤン大学現代社会学部福祉コミュニティ学科 Faculty of Contemporary Social Studies Nagasaki Wesleyan University
出版者
長崎ウエスレヤン大学
雑誌
長崎ウエスレヤン大学現代社会学部紀要 (ISSN:13481142)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.21-28,

行動療法は、インフォームド・コンセントを重んじ、実験を通して有効性が確認されたエビデンス・ベーストの技法を用い、クライエントが望む介入結果に至ることがめずらしくない、心理療法である。しかし、研究者や実践者たちにおけるこの療法への敬意は必ずしも高くはなく、とりわけ日本においてその傾向が強い。本論文は、文献などに見られる「行動療法は人間をネズミあつかいする」「クライエントの過去の経験を重視しない」「冷たい」といった諸批判を検討するものである。まず、行動療法の母体である行動心理学を解説する。続いて行動療法を概観し、特にその技法を詳述する。以上を通して行動療法の位置と性格を明らかにした後、これまで行動療法に与えられてきた19種類の典型的な批判を紹介して各批判に検討を加える。検討は「批判への回答」形式でおこなうが、その内容は、科学というアプローチに対する誤解の指摘、行動心理学と行動療法を混同していることの指摘、ヒューマニスティックという語の定義の再考、などから成り立っている。
著者
金原 俊輔 Shunsuke Kanahara
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.21-51,
著者
金原 俊輔
出版者
長崎ウエスレヤン大学
雑誌
長崎ウエスレヤン大学現代社会学部紀要 (ISSN:13481142)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.53-62, 2008-03

高等学校において、生徒たちの問題・悩みにどのように対応するかを、森田療法の見地から解説した。まず、森田療法が有する理論や技法を概観し、その後、高校生の諸問題を「不登校・別室登校」「学校がらみの問題」「勉強」の3項目に分けて、森田療法的なアドバイスを記した。アドバイスは、教師が生徒に与えるという状況を想定している。一例をあげれば、いわゆる「不登校」に関しては、登校できない事情があるかもしれないが、とにかく学校へ行き、他者と会い、授業を受け、帰ってくる、それをめざして、実行すべきで、毎日、歯をくいしばり登校を継続する、時々休みを入れながらで構わない、やがては卒業式に到達し、その間に、がんばった成果として以前よりも多くの知識や経験や能力が身についている、このような目的本位の指導例を述べた。本論文は、高校生に見られる気分本位の生活パターンを目的本位の生活パターンに改めることに主眼を置き、それにより生徒たちに行動面の変化が現れることを企図したものである。