著者
増田 亮一 山下 市二 金子 勝芳
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.186-191, 1997-03-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

スイートコーン顆粒(sh2導入種)の呈味を支配する成分の糖,遊離アミノ酸および有機酸含量に,収穫時刻による差異があるのかを成分分析値および糖代謝酵素活性から検討した.1) スイートコーン顆粒の乾物重量は,日没時が多く,夜間に減少し,日出時に最低となり,再び増加する日変動を示した.食味に最も寄与するスクロース含量は午後に,デンプン含量は日没時に多い傾向は認められたが有意な差ではなかった.2) 一方,糖代謝酵素の活性から糖類の集積を検討したところ,スクロース蓄積と関連が深いADPグルコースーピロボスホリラーゼ活性は日没時に増加した.これはデンプン合成が促進され,スクロース含量が日没時に減少したことと一致している.また,日出時のスクロース合成酵素活性の低下は,夜間における顆粒へのスクロース転流量の低下を示唆していた.3) スイートコーンの食味に最も寄与するスクロースの収穫時刻による含量の変化率は約5.6%(0.5g/100g新鮮重)であり,食味に及ぼす影響は検知し難いと推定される.しかし,日没時のアラーンやリンゴ酸含量は,午後や日出時に比べて多く,収穫時刻によって食味に何らかの影響があるものと考えられた.4) スイートコーンの早朝収穫には収穫時点の成分含有量からみる限り必然性があるとはいえなかった.しかし,顆粒の品温は気温から30~40分程遅れて追随する日変動を示し,午後1時に最高,日出30分後に最低値となった.気温の低い早朝に収穫すると予冷に要する時間が短縮される効果があり,市場出荷を前提とした場合に妥当と考えられた.
著者
進藤 久美子 安井 明美 大澤 良 堀田 博 鈴木 東子 金子 勝芳 鈴木 建夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.449-452, 2001-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

玄ソバについて古くから行われている寒ざらし処理が,ソバ殻を除いた可食部の成分組成に与える影響を検討し,そば切りの品質向上効果にかかわる伝承の実証を試みた.(1) 寒ざらし処理後も,タンパク質,脂質,炭水化物,灰分,無機質,食物繊維およびルチンについては,ほとんど溶出していなかった.(2) 寒ざらし処理により,全ポリフェノール量の低下および遊離アミノ酸組成の変動が認められ,遊離アミノ酸の中ではγ-アミノ酪酸(GABA)が2倍に増加していた.(3) 成分含有量に大きな変化は見られなかったが,ポリフェノール量と遊離アミノ酸組成の変化は,そば切りの品質向上の可能性を示していると考えられた.