著者
金子 雄介
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.33-40, 2021 (Released:2021-10-18)

This paper shows critical points of consideration regarding the adoption of blockchain technology (DLT; Distributed Ledger Technology) in enterprise IT systems, beyond just financial services, based on selected trials in the Japanese financial services industry. After reviewing the history of blockchain initiatives in the Japanese services industry, this paper describes selected proof-of-concepts and experiments by Japanese financial institutions focusing on four main themes; in-house coin, interbank transfer, know-your-customer (KYC), and global trade. We discuss the background of the shift in interest from Bitcoin remittances to private-blockchains and the similarities between the trust point (Oracle) in DLT and the functions provided by financial institutions.
著者
金子 雄介 田村 浩気 河合 伸浩 田中 俊太郎 岡 知博
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.492-505, 2019-07-15

貿易実務は,正本性の高い書類を多くの取引参加者が扱うため,高い改ざん耐性を持つシステムによる業務効率化が期待されているが,網羅的な解決には至っていない.筆者らは,ブロックチェーンを用い,銀行APIやIoTセンサなども活用した貿易取引ワークフローシステムを構築した.試用の結果,貿易手続きの所要時間が40分の1(現行手続きにおける書類運送時間を除いても4分の1)に短縮できることを確認した.併せて,商用化に向け解決すべき課題を整理した.
著者
金子 雄介 長田 繁幸 安土 茂亨 岡田 仁志 山崎 重一郎
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2018-CSEC-82, no.24, pp.1-6, 2018-07-18

ブロックチェーン技術による分散台帳を利用する仮想通貨は,二重使用を防止するために,すべての取引で入金額の和と出金額の和が一致すること,すなわち,通貨価値の総量保存則が成り立つことを監査している.仮想通貨を金融業務で用いるには,利息による負債額の時間的増加や返済による負債額の減少を表現できる必要があるが,仮想通貨の安全な運用とは両立しない.本稿は,通貨価値の総量保存則を維持しつつ,利息や返済などの処理を合理的に記述する方法を提案する.提案法では,利息を考慮した融資額を意味する正の仮想通貨と,対となる同量の負債額を意味する負の仮想通貨を同時に発行し,これら 2 種類の仮想通貨の発行者のみが正負の仮想通貨を相殺する.