著者
谷口(藤本) 麻起子 金綱 知征 タニグチ(フジモト) マキコ カネツナ トモユキ Makiko Taniguchi(Fujimoto) Tomoyuki Kanetsuna
雑誌
聖泉論叢
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-10, 2013

関西圏私立四年制大学在籍の学生187名を対象とした『大学において「心理学」を学ぶことの期待』に関する質問紙調査,及び同20名を対象とした『大学の専攻動機と,その変化過程』に関する半構造化面接調査を実施した.心理学系学生は非心理学系学生に比べて,資格取得を心理学に期待する傾向や,他者の問題解決のための能力獲得を期待する傾向が示されたことから,心理学を学ぶことで臨床心理士をはじめとする対人援助職を志している可能性が推測された.一方面接調査において,「内的なもののため」という動機が心理学系学生にのみみられたことに加えて,「仕事のため」,「適性のため」という動機も,他者理解や他者援助が主軸として置かれていたわけではないことから,動機の側面からみた心理学への期待は他者理解・他者援助よりもむしろ,自己理解・自己援助のためといえた.考察では,これらの質問紙調査と面接調査の結果の矛盾について検討した.
著者
金綱 知征
出版者
日本感情心理学会
雑誌
エモーション・スタディーズ (ISSN:21897425)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.17-22, 2015-10-01 (Released:2017-04-24)
参考文献数
21
被引用文献数
3

This paper aimed to give an overview of a series of cross-national studies on children’s perception and understanding of bullying in England and ijime in Japan, and to see the nature and the characteristics of ijime and its possible social and cultural background factors. Ijime in Japan, compared to bullying in Western countries, is often considered to be more indirect in nature, and often conducted as a group aggression by victims’ classmates or someone victims know very well. Although students in both countries had similar perceptions of typical characteristics of bullies and victims, and many students had anti-bully and pro-victim attitudes, victim-blaming tendency appeared to be more salient in Japan. These characteristics may partly be explained by the school systems and pupils' friendship formations within the system in each country. Compared to English pupils, Japanese pupils formed their friendships on the basis of the class they belonged to, and spent most time with them in the classroom. Thus, more class-based prevention and intervention approaches would be necessary.
著者
金綱 知征
出版者
甲子園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、①ネットいじめの様相に関する基本的認識、②被害に対するリスク認知、③被害に対する不安、④匿名性信念、そして⑤被害予防意識の5つの心理的要因の相互関連性を検証し、ネットいじめ被害・加害の予防と対応に役立つ知見を得ることであった。携帯電話の普及率が95%以上という青年期後期の若者を対象に無記名自記式の質問紙調査を実施した結果、ネットいじめの様相について従来型いじめと同様の理解をしていることが示された。またリスク認知、被害不安はともに過去にネットいじめ被害経験をもつ者は有意に高く、高いリスク認知と被害不安は低い匿名性信念と合わさることで、高い予防意識へとつながることが示された。