著者
柴崎 和夫 鈴木 勝久 小川 利紘 等松 隆夫
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.p83-96, 1979-03

NO_2の大気中全量の測定法を開発し予備的観測を行った.太陽・月を光源とした長光路吸光法を用い, NO_2以外に強い吸収帯の存在しない波長430-450 nm域を選び,スペクトル統計分析によって大気NO_2全量を精度良く求める方法を確立した.1977年3月~10月にわたって東京と茨城県柿岡で予備観測を行った結果,NO_2の鉛直気柱内密度は平均として東京では~10^<17>分子/cm^2,柿岡でも~6×10^<16>分子/cm^2に達しており,また日々の変化,1日の内の変化がかなり大きいことがわかった.これは大気汚染の影響を示すもので,柿岡の値が東京に匹敵することは汚染の広域化を証拠立てている.今後は,自然状態でのNO_2量の測定布目的として,高い山の上,海上等の汚染の及ばない場所での観測を行う予定である.資料番号: SA0125725000
著者
川島 高弘 小山 孝一郎 鈴木 勝久 岩上 直幹 小川 利紘 置田 彩子 福山 恒太 野田 亮
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.1-28, 1997-08

1996年2月11日20 : 00JSTに鹿児島宇宙空間観測所より打ち上げられた観測ロケットS-310-24号機により高度100&acd;160kmにおける窒素分子の振動温度, 回転温度, 数密度の同時観測に成功した。電子銃を用いて大気中の窒素分子を電離し, 窒素分子イオンからの発光スペクトルの1つである1st Negative Bandを高感度の分光器で測定することで各物理量を求めた。またこの実験の最中, 電離中間層が高度140km近辺に発生しており, 世界で初めて電離中間層中の中性大気の数密度, 温度を観測した。観測された温度の高度分布は通常の大気モデルと違い, 鉛直波長40kmほどの波動構造を示していることがわかった。この現象を潮汐波による変動と仮定して簡単な1次元大気物理シミュレーションを実行して検討した。振動温度に関しては本観測器で値を正確に決定できるほど高温に振動励起されておらず上限を与えるにとどまったが, 上限値は過去のO'neil (1974) の測定と矛盾しない。