著者
木戸 功 戸江 哲理 安達 正嗣 鈴木 富美子 阪井 裕一郎 松木 洋人
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

全国家族調査(NFRJ)18幹事会に代表の木戸が出席し、量的調査と連携して実査に臨むことを確認した(4/15)。その後、日本家族社会学会会員に本研究会(NFRJ18質的調査研究会)への参加を呼びかけ研究代表者と研究分担者を含む33名の研究会組織を編成し連絡用メーリングリストを作成した。本年度は3回の研究会を開催し、また小規模であるが量的調査チームと連携した予備調査も実施した。第1回研究会は学会大会終了後に大阪市立大学で開催し(9/11)、本調査の概要についてあらためて確認した上で、インタビュー調査班をサブテーマごとに4つ作り、班ごとに対象者と調査項目について検討した。フィールドワーク班についても対象選定の方法と、データ収集の方法について意見交換した。第2回および第3回研究会はそれぞれ2部構成として前半で招聘講師からのレクチャーと討論、後半で各研究班ごとの実査に向けた検討とその進捗状況の報告を実施した。第2回研究会はライフヒストリー研究およびそのアーカイヴ化についての専門家として小林多寿子氏(一橋大学大学院)を招き早稲田大学にて開催した(11/23)。第3回研究会は生活史研究の専門家として岸政彦氏(立命館大学大学院)を招き大阪市立大学にて開催した(1/27)。いずれの研究会においても専門的な知見の提供を受けるとともに本研究会が実施する調査に対しての実践的な助言をえた。並行して木戸がNFRJ 18の全体研究会に参加し(11/12)量的研究チームとの連携を保った。これらの研究会でのやりとりなどを通じて、対象選定の方針と調査項目の選定については具体的な案がそれぞれの班より示されるにいたった。また量的研究チームが実施した予備調査において、追加調査となるインタビュー調査への協力の可否をたずねる項目を追加するとともに、応諾者のうち9ケースの予備調査を実施した(3月)。
著者
鈴木 富美子
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.58-70, 2007
被引用文献数
3

本稿は男女共同社会への過渡的状況を生きる夫婦関係の諸相を計量的に描き出す試みである。夫婦関係を多元的にとらえるため, 「夫婦類型」の特徴を夫婦ペアデータから分析した。夫婦類型は「夫からの情緒的サポートの有無」と「妻の苛立ちの有無」に対する妻回答をもとに, 「サポート有・平穏型」「サポート有・苛立ち型」「サポート無・苛立ち型」「サポート無・平穏型」の4タイプを作成, 夫と妻および両者を組み合わせた「夫婦属性」, 行動面・意識面の共同性, 夫婦関係満足度から分析を行った。分析の結果, 「サポート有・平穏型」を除き, 行動面の共同性や夫婦間の意識の連関が低く, 妻の夫婦関係満足度は夫より低かった。このように, 結婚生活のひずみを背負っているのは主に妻であり, 現状のまま男女共同社会が到来するとこうした状況を助長しかねないことが明らかとなった。夫婦間の「代替戦争」を避けるには, 夫婦双方ともに労働環境の改善が急務となる。