著者
青木 俊明 鈴木 温
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.42-54, 2005 (Released:2006-04-29)
参考文献数
32
被引用文献数
6 5

本研究では,自己関連性と情報提示に着目し,社会資本整備に対する市民の態度形成のメカニズムを検討した。その際,ヒューリスティック・システマティック・モデルおよび精緻化見込モデルに基づいてモデル構造を検討した。インターネットを用いてシナリオ実験を行った結果,情報開示が不十分な状況では,自己関連性の高さに関わらず,プロジェクトの社会的妥当性と信頼感などの周辺情報に基づいて賛否態度が形成されることが示された。その際,どちらの場合であっても周辺情報以上に事業情報の方が賛否態度に強い影響力を持つことが示唆された。一方,十分な情報が開示されている状況では,自己関連性の高低に関わらず,プロジェクトの社会的妥当性と手続き的公正によって賛否態度が形成されることが示唆された。さらに,態度変容モデルに基づいて考察した結果,自己関連性が高い場合には手続き的公正の中身が重要であり,自己関連性が低い場合には手続き的公正が認識させる行為自体が重要であることが示唆された。これらのことから,自己関連性の高さによって手続き的公正の役割や態度形成のメカニズムが異なることが示唆された。
著者
鈴木 温 鈴木 和佳奈 栗田 歩
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_375-I_385, 2015
被引用文献数
2

近年,我が国では大都市を中心に保育所待機児童の発生が問題視され,施設の拡充等による子育て支援体制の強化が求められている.保育所の需給ギャップと空間的ミスマッチを解決するため,保育所アクセシビリティに関する研究が行われてきた.しかし,いくつかの課題も残されていた.そこで,本研究では,それらの課題を解決するため,マッチング理論を応用した新たな保育所アクセシビリティ指標を提案し,名古屋市緑区を対象として,新たな保育所アクセシビリティを用いた分析を行った.その結果,より現実に近い入所選考プロセスを表現可能となり,保育所アクセシビリティの空間分布だけでなく,待機児童の発生を分析可能であることが確認できた.