著者
鈴木 秀次
出版者
早稲田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

我々は小山裕史が開発した初動負荷トレーニング動作の特徴を解明するために、ラットプルダウン動作を用いて検討した。初動負荷トレーニングにおける動作は、動作の切り換えしが素早く、短時間で最大パワーの発揮が可能であることが明らかとなった(平成15年度)。そこで平成16年度は、本動作の特徴である「かわし動作」(伸展-屈曲で動作が切り換わるときにひねりを加える動作)について筋活動とキネマティクスをしらべ、検討した。動作はラットプルダウンを用いた。筋活動は、僧帽筋、広背筋、大胸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋から記録し、解析した。その結果、かわし動作を行うことによって、伸筋から屈筋へと動作が切り換わる時に回旋筋群が協力筋として位相のタイミングをずらしながら活動することが明らかとなった。すなわち、これらの活動は伸筋と屈筋だけで賄う筋張力を分担することとなり、主動筋への負担を軽減する機能ともなっていた。「かわし動作」は体幹筋から末端部へ力を合目的的に伝達させ、負荷を持ち上げるのを助け、動作をストレス無く起こさせるように働くことが示唆された。本成果は、国際電気生理運動学会で発表し、アメリカスポーツ医学会で発表する。論文としては、バイオメカニクス研究9巻1号で報告した(印刷中)。本初動負荷トレーニングは、関節への外乱に対する抵抗力と筋の柔軟性を高め、怪我の予防と健康の維持増進につながる。この特徴を活かし、マシンなしでも効果が可能な連鎖反射ストレッチング体操を考案した。現在のところ42種類の体操を考案、実践し、映像化した。この成果の一部はホームページ(http://www.f.waseda.jp/shujiwhs/index-j.htm)に開示した。
著者
宮崎 純弥 村田 伸 堀江 淳 鈴木 秀次
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.379-383, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
28
被引用文献数
4 3

〔目的〕男性高齢者における30秒間の開眼片足立ち保持の臨床的意義ついて,身体機能との関係から検討した。〔対象〕健康調査に参加した男性高齢者57名とした。〔方法〕30秒間の開眼片足立ち保持が可能な者(可能群)と保持ができない者(不可能群)における矢状面脊柱アライメント,大腿四頭筋筋力,足把持力,最大歩行速度,Timed Up and Go test,10 m障害物歩行,6分間歩行距離テストについて,年齢を共変量とした共分散分析で比較した。〔結果〕胸椎後彎角以外のすべての測定項目で,2群間に有意差を認め,可能群が高い能力を示した。〔結語〕開眼片足立ち保持時間が30秒保持可能群と不可能群では,明らかに身体機能に差を認めることから,臨床的意義があることが示唆された。