著者
木田 圭亮 鈴木 規雄
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.113-117, 2022-08-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
6

日本の循環器領域では,2021年改訂版心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインでGlobal Leadership Initiative on Malnutrition(GLIM)は初めて取り上げられた.心不全患者においても,GLIM基準を活用し,早期診断,早期介入が求められている.そのためには,多職種でのチーム医療,心臓リハビリテーションが大いに活躍できる場と考える.そして,循環器領域ではまだ良く耳にする,「低アルブミン血症のため低栄養です.」というフレーズ,こちらについては,今回のガイドラインにおいても,血液中のアルブミン,すなわち内臓たんぱく質貯蔵量による栄養評価は,炎症,体液量増加による血液の希釈など,疾患重症度を反映し,単独では栄養状態を示す指標にならないと明記されていることを循環器内科医はもっと知っておくべきである.心不全領域での心臓リハビリテーションにおける運動療法の分野は,これまで多くのエビデンスが構築されてきたのに比べると,栄養の分野はまだ道半ばである.心不全患者に対して栄養補給なしの運動だけではより痩せるリスクもあり,ある意味“修行”になってしまうため,運動には十分な栄養補給が必要である.
著者
鈴木 規雄 木田 圭亮 明石 嘉浩 武者 春樹 三宅 良彦
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.1083-1090, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
6

【目的】蛋白代謝、免疫能、脂質代謝の三つの生体指標から栄養評価するCONUT法が知られているが、心不全における栄養評価方法は十分に確立していない。急性心不全患者に対してCONUT法を用いた栄養評価が、短期予後の予測に有用であるか検討した。【対象及び方法】急性心不全で入院となった連続38名に対し、入院時にCONUT法でスコア化 (CONUT score) 及び栄養評価を行い、短期予後との関連性について調べた。【結果】CONUT法により36名 (95%) が軽度以上の栄養障害と評価された。CONUT scoreは感染症合併群、非合併群において感染症合併群の方が有意に高値 (p=0.02) であり、CONUT scoreが高値であると入院期間が長期化していた (p=0.02)。また、軽快退院群は有意に低値であった (p=0.02)。【結論】多くの急性心不全患者が栄養障害を有している可能性がある事が示唆された。また、CONUT法は早期に急性心不全患者の栄養障害をスクリーニングし、短期予後を予測する簡便な方法として有用性があると考えられた。
著者
民上 真也 柴田 みち 梅澤 早織 久恒 靖人 鈴木 規雄 中村 祐太 伊藤 彩香 水谷 翔 大貫 理沙 穐山 雅代 栃本 しのぶ
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.11-15, 2022 (Released:2022-03-15)
参考文献数
8

新型コロナウイルス (COVID‐19) の世界的な蔓延に伴い, 人々は感染予防対策として新しい生活様式を強いられている. 医療の現場においては, 院内感染対策の徹底, 一般診療とCOVID‐19診療の両立など, 新たな医療体制の構築が求められるようになった. 聖マリアンナ医科大学病院では, 本邦での感染者の発生当初より「神奈川モデル」の高度医療機関および重点医療機関協力病院として多くのCOVID‐19症例を積極的に受け入れて治療を行っている. 院内においては, 救命病棟の改装, コロナ専用病棟への改築, 発熱外来の設置など, COVID‐19診療支援体制の構築に努めてきた. 院内での感染対策としては, 手指消毒, マスク着用, ソーシャル・ディスタンス確保, 黙食など遵守事項の徹底が求められた.NST活動は, 感染予防のため医療者間の接触を最小限にしたチームの再編成が求められ, カンファレンスや回診などの活動も制限された. 他の多くの施設においても, 特に第1波の時期においてはカンファレンスや回診などのNST活動は制限され, また, 院内勉強会や院外での講演会も中止を余儀なくされたため, 従来の形で栄養を学ぶ機会が失われた.
著者
木田 圭亮 土井 駿一 鈴木 規雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.54-57, 2021-01-10

Question 1心不全に高カリウム血症の合併が多いのはどうしてですか?