著者
丹羽 健市 浅井 武 長井 健二 大貫 義人 笹瀬 雅史 竹田 隆一 曽 広新 李 宏玉 修 傳風 揚 振東
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

これは平成9年度〜平成11年度の3年間にわたって山形大学教育学部と中国・吉林師範学院体育分院の共同で行われた「日中東北地域におけるスポーツ科学の比較研究」の報告書である。近年、スポーツ科学の発展はめざましく、その国際化と多彩な分野の総合化は急務な課題となっている。そこで山形大学と吉林師範学院の体育・スポーツ研究者が、同じ東北地方に位置するという地理的条件などを考慮し、上記テーマを設定し、共同研究を通じて学術交流をすすめることになった。3年間にわたり、両大学の研究者が2名ずつ相互に訪問し、共同研究を実施した。この報告書には共同研究で得られた成果をもとに発表された論文・資料等を掲載した。また、共同研究会での発表の要旨も収録した。そこであきらかなように、この研究はバイオメカニクス、運動生理学、体育科教育、武道論、体育社会学などスポーツ科学がカバーする広範な分野に及んでいる。ここには、丹羽健市による運動時の水分摂取と体温調節の生理学的研究、大貫義人による低体温者の運動に関するスポーツ医科学研究、浅井武によるサッカーのバイオメカニクス研究。長井健二の体育科教育研究、曽広新の太極拳の運動生理学研究、竹田隆一、宮煥生の武道教育研究、笹瀬雅史の体育社会学的考察、などがまとめられている。また日本および中国の東北部という冬季寒冷な地城におけるスポーツ活動やスポーツ科学的トレーニングに関する知見の交流、さらに学佼やスポーツ施設などの実地見聞も共同研究をすすめるうえで有益であった。資料収集と情報交換は継続して行われた。こうして、同じように東北地方に位置し、教員養成系大学である山形大学と吉林師範学院の体育・スポーツ研究者の共同研究ならびに学術交流は一定の成果をあげたものである。今後は、この基礎作業を土台として、さらに共同研究を継続していくことが必要である。なお、この共同研究の実施と報告書の刊行は、「科学研究費補助金基盤研究(B)(2)」を得て行われたものである。