著者
丹羽 健市 中井 誠一 朝山 正巳 平田 耕造 花輪 啓一 井川 正治 平下 政美 管原 正志 伊藤 静夫
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.151-158, 1996-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

運動時の暑熱障害事故予防のための基礎資料を得るために, 男子大学生を対象に運動場の環境条件 (WBGT) の実態と, それに伴う発汗量や飲水量及び体温との関係ならびに運動時の水分補給の有無が体温調節反応に及ぼす効果について検討した.得られた主な結果は, 次の通りである.1.4月から9月までの期間, 同一時刻に練習を行った際のWBGTは4月以降上昇し, 8月に最高値に達した後下降した.2.自由飲水時の体重減少量は4.8~5.7g/kg・hr-1の範囲にあり, 各月間に有意な差異は認められなかった.3.発汗量および水分補給量はWBGTの上昇に伴って増大し, 両者の問に高い相関関係が認められた.しかし, 自由飲水時の口内温の変化量はWBGTの上昇にもかかわらず0.52±0.08℃であり, WBGTの増加に伴う変動は認められなかった.4.運動時の口内温の上昇は水分補給の有無によって異なり, 水分補給の場合で0.62±0.30℃, 非補給では1.09±0.54℃上昇し, 両者の間に有意な差異が認められた (p<0.001) .5.水分補給の場合の発汗量は10.455±2.272g/kg・hr-1, 一方非補給のそれは8.279±1.271g/kg・hr-1であり, 両者の間に有意な差異が認められた (p<0.01) .
著者
大貫 義人 荒木 善行 丹羽 健市
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, 1988-12-01

第19回全日本大学駅伝に出場した山形大学の中・長距離選手を被験者にした本研究では, V^^・O_2max及びATと競技成績との関係について, 各走記録間に高い相関を示し, しかも, V^^・O_2maxよりもATの方かより高い相関を示すことが明らかとなった。また, 選手の現在の競技成績を予測する上でも重要な指標として評価できるといえる。
著者
佐藤 靖丈 丹羽 健市
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.113-121, 1997-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1

運動時の飲水が発汗量に及ぼす影響を検討するために, 脱水状態及び種々の量の水分を補給しながら一定強度の運動を負荷し, その際の発汗量の相違ならびに体重減少率と体温上昇との関係及び飲水による体冷却効果から検討した.1.運動時の発汗量は運動開始前の脱水状態時, 運動時水分非補給時, 水分補給時にかかわらずほぼ一定値 (968~996g/hr) を示した.2.体重減少率は飲水量の増大に伴って有意に少ないが, 発汗量との間に有意な関係は認められなかった.3.運動時の直腸温は体重減少率の増大に伴って有意に上昇した.4.飲水による体冷却熱量は飲水量の増大に伴って増大し, 水分非補給時の貯熱量のほぼ13~45%の相当した.
著者
丹羽 健市 浅井 武 長井 健二 大貫 義人 笹瀬 雅史 竹田 隆一 曽 広新 李 宏玉 修 傳風 揚 振東
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

これは平成9年度〜平成11年度の3年間にわたって山形大学教育学部と中国・吉林師範学院体育分院の共同で行われた「日中東北地域におけるスポーツ科学の比較研究」の報告書である。近年、スポーツ科学の発展はめざましく、その国際化と多彩な分野の総合化は急務な課題となっている。そこで山形大学と吉林師範学院の体育・スポーツ研究者が、同じ東北地方に位置するという地理的条件などを考慮し、上記テーマを設定し、共同研究を通じて学術交流をすすめることになった。3年間にわたり、両大学の研究者が2名ずつ相互に訪問し、共同研究を実施した。この報告書には共同研究で得られた成果をもとに発表された論文・資料等を掲載した。また、共同研究会での発表の要旨も収録した。そこであきらかなように、この研究はバイオメカニクス、運動生理学、体育科教育、武道論、体育社会学などスポーツ科学がカバーする広範な分野に及んでいる。ここには、丹羽健市による運動時の水分摂取と体温調節の生理学的研究、大貫義人による低体温者の運動に関するスポーツ医科学研究、浅井武によるサッカーのバイオメカニクス研究。長井健二の体育科教育研究、曽広新の太極拳の運動生理学研究、竹田隆一、宮煥生の武道教育研究、笹瀬雅史の体育社会学的考察、などがまとめられている。また日本および中国の東北部という冬季寒冷な地城におけるスポーツ活動やスポーツ科学的トレーニングに関する知見の交流、さらに学佼やスポーツ施設などの実地見聞も共同研究をすすめるうえで有益であった。資料収集と情報交換は継続して行われた。こうして、同じように東北地方に位置し、教員養成系大学である山形大学と吉林師範学院の体育・スポーツ研究者の共同研究ならびに学術交流は一定の成果をあげたものである。今後は、この基礎作業を土台として、さらに共同研究を継続していくことが必要である。なお、この共同研究の実施と報告書の刊行は、「科学研究費補助金基盤研究(B)(2)」を得て行われたものである。