著者
長尾 大志
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.191-194, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
1

メディカルスタッフが胸部X線写真を見る機会はそれほど多くないかもしれないが,救急の現場など急を要する場面などで読影をすることができれば,現場での診療に役立つと考えられる.X線写真を「ぱっと見てわかる」重要な所見は,肺の大きさの変化,構造物の移動や左右の対称性,気胸や縦隔気腫の存在などである.それ以外に胸部X線写真が有用なものとしては,肺炎をはじめとする感染症,そして肺癌などがあるが,肺野に明らかな陰影があれば異常に気づくことはそれほど困難ではない.一方で心陰影や横隔膜裏などの物陰・死角にある陰影はしばしば見逃されることがある.そのような陰影に気づくためのポイントとして,シルエットサインが有用である.シルエットサインは陰影の存在する場所を推定するために使われているが,シルエットサインが陽性である場合,その構造物に隣接して病変が存在するということが示唆される.