著者
長森 美信
出版者
天理大学
雑誌
天理大学学報 = Tenri University journal (ISSN:03874311)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.1-32, 2020-02

壬辰丁酉(文禄慶長)の戦乱(1592~98年)によって多くの朝鮮人が日本軍に連れ去られた。朝鮮政府は,彼らを被擄人(被虜人)と呼び,その「刷還(送還)」につとめたが,17世紀前半までに帰国したことが確認できる被擄人の総数は6000人余りという。数万人とされる被擄人の大部分は異域・異国で暮らすことを余儀なくされたのである。被擄人のうち,有田・萩・薩摩などで陶磁器生産に従事した陶工や一部知識人等についての研究が蓄積されているものの,一般的な被擄人たちの定住過程については不明な点が多い。被擄人の大部分は自ら記録を残すことがなかったからである。本稿では,日本で洗礼を受けてキリシタンとなった被擄人の記録,すなわち,16世紀末~17世紀に日本で活動した宣教師の記録と17世紀前半の長崎平戸町の人別帳史料を通して,朝鮮被擄人が日本に連行され,定住していく過程を考察した。
著者
六反田 豊 森平 雅彦 長森 美信 石川 亮太
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

朝鮮半島における主要河川の一つである漢江を主たる対象として、高麗および朝鮮時代において、人々が河川という水環境といかなる関係を築き、またそれがどのように変化してきたかを検証するために、関連資料の収集をおこなうと同時に、5回にわたり漢江流域での現地踏査を実施した。そして、その結果を、関連する文献情報とともに資料集にまとめて刊行した。また、日本国内の研究者と勉強会や意見交換の場をもち、水環境史研究の課題や方法についての認識を深め、朝鮮史研究における水環境史の構築のための研究基盤を形成した。