著者
町田 益己 藤富 正毅 長谷川 健一 工藤 孝浩 甲斐 正信 小林 智彦 上出 貴士
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.755-756, 1999-07-15
参考文献数
5
被引用文献数
6 15

1997年に発生した渦鞭毛藻, Ceratium furcaの赤潮は, 和歌山県から茨城県にかけての太平洋沿岸において極めて広い範囲で認められ, その発生期間は3月下旬から7月下旬までの約4ヶ月間に及んだ。特に, 遠州灘から駿河湾にかけての海域に赤潮が約2ヶ月間継続し, 水産業に多大な影響を与えた。赤潮被害は伊豆半島東部の静岡県網代地区で5月23∿24日に強い低気圧の通過にともなう北東風によって本種細胞が集積し, 養殖していたブリ, マダイ, カンパチ等が斃死する事故が発生した。斃死の原因は細胞の集積とその後の死滅にともなう低酸素化現象と考えられた。本赤潮は発生範囲の規模と持続期間を考えれば, 過去に例のない大規模で特異的な現象であった。