著者
中多 啓子 末次 恵美 安田 みどり 熊川 景子 尊田 民喜 福元 裕二 長谷川 節
出版者
西九州大学
雑誌
永原学園西九州大学・佐賀短期大学紀要 (ISSN:03875326)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-9, 2006-03-01
被引用文献数
1

ジャーファメンターで培養されたクロレラブルガリスCK-5株の熱水抽出物(CVE)からの抗酸化物質の分離・精製を試みた。このCVEと溶媒石油ベンジンーベンゼン(9:1、v/v)を分液ロートに入れた。この水抽出液の下層の部分をU成分と名づけた。U成分をSephadexG-25のゲル濾過によって分離した。このフラクションをUVスペクトルの類似性と分子のサイズから分類した。分子量の大きい順に、U-a>U-b>U-c>U-d>U-eと表した。この5成分をTLCの第一鉄-チオシアン法による呈色による抗酸化活性を検出する試験、リノール酸の自動酸化及び紫外線照射によるリノール酸の酸化を第一鉄-チオシアン法によって抗酸化活性を測定する試験を行った。この3つの実験法から、U-b成分がリノール酸に対して5成分中最も抗酸化活性があることがわかった。さらに、U-b成分をSephadexG-10のゲル濾過によってさらに分離・精製を行い、(U-b)a成分を得た。この(U-b)a成分とフィチン酸を電気伝導度検出器を備えたHPLCで測定し、その結果からこの(U-b)a成分は、フィチン酸様の化合物であることが示唆された。(U-b)a成分と、フィターゼによって加水分解されたフィチン酸の混合物を展開溶媒n-プロパノールーアンモニアー水(5:4:1、v/v)を用いたTLC分析を行った。このTLC分析から、抗酸化活性のある(U-b)a成分は、2成分を除いて、6成分がイノシトールリン酸(InsP_1〜InsP_6)類であることが示唆された。
著者
土田 隆 益子 研土 山田 勝彦 平塚 秀雄 島田 孝男 板垣 雪絵 藤沼 秀光 鮫島 浩二 中村 寿雄 長谷川 節 松林 恒夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.97-102, 2003-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
20
被引用文献数
15 18

γ-アミノ酪酸 (GABA) 高含有クロレラ (以下GABAクロレラ) の血圧降下作用およびその有効摂取量を調べるため, 成人で血圧が高めの健常者および軽症高血圧者に対して, プラセボを用いた多施設群間比較試験を実施した。被験者 (平均年齢47.8±10.0歳, 収縮期血圧145.3±5.9mmHg, 拡張期血圧87.7±6.5mmHg) を15名ずつの4群に分け, GABAクロレラ (2g, 4g, 6g/day) およびプラセボ (乳糖4g/day) をおのおの8週間摂取させたとき, GABAクロレラ摂取群すべてに, 摂取後2週目から収縮期血圧の低下が認められた。GABAクロレラ群とプラセボ群との比較では, GABAクロレラ4g/dayおよび6g/day摂取群の収縮期血圧で, 摂取開始6週後および8週後に統計学的な有意差を認めた (4g/day摂取群: 8週後p<0.05, 6g/day摂取群: 8週後p<0.01)。しかし, 拡張期血圧では低下傾向がみられたものの, GABAクロレラ群とプラセボ群との間に統計学的な有意差は認められなかった。また, GABAクロレラ摂取群では, 摂取終了後, 収縮期血圧の復帰傾向がみられたが, プラセボ群では変化を認めなかった。すべての試験対象者について, 自覚症状, 他覚所見ともに異常は認められず, 副作用もなかった。以上の結果から, GABAクロレラの摂取は血圧が高めの健常者および軽症高血圧者の血圧を, 副作用を伴わずに改善させることが示唆された。