著者
矢野 昌充 長谷川 美典
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.514-518, 1992-06-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
7
被引用文献数
1

キウイフルーツの流通方法改善の資料とするため,市販果実のエチレン生成と追熟の状況を調べた.(1) 国内産のばら売り,パック売りとも,購入後10日を経過してもエチレンを生成して正常に追熟した果実はほとんどなく,大部分はエチレンを生成しないか生成しても軟腐病によるものであった.(2) 軟腐病が極めて少なかったニュージーランド産果実では14%の果実がエチレン生成を伴う正常な追熟をしたが,大部分は追熟しなかった.卸売市場から直接購入した果実では購入後35日経過後も数%の果実しか追熟しなかった.(3) パック包装内部には50ppmを上回るエチレンが検出される例があった. 8.6~57.6μl/kg/hのエチレン生成量を持つ果実を1個を非密封パック内に入れただけでも0.5~5ppmのエチレンが蓄積することが観察された.(4) 購入10日後,食べ頃の硬さ,酸含量となったのは全購入果実の約40%に過ぎず,しかも大半が軟腐病罹病果であった.
著者
長谷川 美典 川﨑 あけみ 小川 一紀 杉浦 実 矢野 昌充
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00026, (Released:2023-04-03)
被引用文献数
1

国産果物の高品質には定評があるにもかかわらず,国民の消費量については「毎日くだもの200グラム運動」で推奨されている量の1/2に留まる. 諸外国に比較しても著しく低レベルである. そこで、発表者らは4半世紀にわたって進めてきた「果物と健康」に関する研究の成果を活用し、果物の消費拡大をアピールしている. 更には任意団体を2つ立ち上げ,消費拡大活動に向け工夫を重ねている.今回、その成果と将来展望について報告する.
著者
荒木 忠治 長谷川 美典 伊庭 慶昭
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.343-347, 2001-12-31
被引用文献数
1

セイヨウナシ,バートレット,ラ・フランス,パス・クラサン,ウインター・ネリスおよびドヴァイァン・ジュコミスの果肉成分中,糖,酸,ペクチン組成,性状別含量と組成比の違いを調査した。<BR>(1) 収穫時の全糖含量は,バートレット,ラ・フンスパス・クラサンが9-11%,ウインター・ネリス(冷蔵40日)が12%,ドヴァイアン・ジュコミス(冷蔵60日)が11%であった。<BR>(2) 主な構成糖は,全品種ともショ糖,ブドウ糖,果糖およびソルビトールで,主要糖は果糖である・収穫時の含量と比率は,バートレットとラ・フランスが6-8%(全糖の60-70%),他の3品種は8-10%で,(同81-85%)を占めた。<BR>(3) 収穫時の全遊離酸含量は,バートレットが0.3-0.4%,他の品種は0.2%台で,主要酸はバートレットのみがクエン酸で,他はリンゴ酸であった。<BR>(4) 収穫時の全ペクチン含量は,バートレットが約400mgで,既報値に比べ少なく,パス・クラサンは500-600mg,ラ・フランスは470-690mgと年次による変動が著しかった。<BR>性状別含量は,バートレットのW-Pが約70mg,ラ・フランスとパス・クラサンは90-130mg,Na-Pが310-525mgで,両画分の比率はほぼ20:70であった。<BR>H-P画分は,30-60mgで6-12%を占め,品種間差や追熟による変化少なかった。<BR>本試験は,農林水産省・大臣官房企画室の「果実等の省エネルギー地下貯蔵技術開発」調査事業の一部として行われた。