著者
石井 孝昭 松本 勲 シュレスタ Y. H. ワモッチョ L. S. 門屋 一臣
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.556-558, 1998-07-15
参考文献数
8
被引用文献数
10

カンキツ園に生息する草を4月上旬と7月上・中旬に採取し, それらの草の根におけるVA菌根(VAM)菌の感染状態を観察した.その結果, 春草ではスイバ, カモジグサ, ハコベ, クサフジ, ホトケノザおよびウマゴヤシ, 夏草ではヒメムカシヨモギ, イヌビユ, ギョウギシバ, ガズノコグサ, ツユクサ, カタバミおよびメヒシバにおいて, 70%以上の菌根感染率を示した.また, 春草のハコベ, クサフジおよびホトケノザにおいてはVAM菌胞子が根中に多数形成されていた.しかし, イヌタデ, ギシギシおよびスギナでは感染がみられなかった.
著者
石井 孝昭 門屋 一臣
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.529-535, 1994
被引用文献数
10 97

炭施用がカンキツの樹体生長およびVA菌根形成に及ぼす影響を調査した. イネもみがら, ベイツガ樹皮あるいはカンキツジュースかすから作った炭で処理した土壌を用いて, ルートボックスにウンシュウミカン(カラタチ台) 樹を移植し, これに<I>Glomus fasciculatum</I>の胞子を接種した. その結果, ボックスのガラス面に観察される根の伸長は, いずれの炭施用区においても対照 (炭無施用) 区より旺盛であった. 全生体重,地下部重および新梢重も炭施用区で増大した. VA菌根形成は対照区よりも炭施用区で良好であり, 特にイネもみがら炭ではその感染率が41.5%と著しく高く,また葉内のリン含量も増加した. 一方, 宮内イヨカン園における炭 (イネもみがら) 施用区, バヒアグラス草生区, 放任区および慣行裸地 (除草剤年3回使用)区のVA菌根形成を比較調査したところ, VA菌根菌の感染率は炭施用区 (52.0%), バヒアグラス草生区(16.9%), 放任区 (7.3%), 慣行裸地区 (3.6%) の順であった.
著者
水谷 房雄 廣田 龍司 天野 勝司 日野 昭 門屋 一臣
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.863-867, 1991
被引用文献数
5

発育中の日本スモモにおける青酸配糖体の含量とβ-シアノアラニン合成酵素活性の変化を調査した. 発育初期の果肉では低レベルのプルナシンが検出されたが(0.6mg/g dw), 発育とともに検出されなくなった. 同様にβ-シアノアラニン合成酵素活性も最も早い採取日に0.3μmolH<sub>2</sub>S/g fw/hrであったが, 果実の発育とともに活性は次第に減少した. しかしながら, 成熟期の果肉ではわずかながら活性の上昇が見られた. いっぽう, 種子では生育期間を通じて全青酸配糖体(プルナシン+アミグダリン)含量は75~100mg/g dwと高かった. 幼果の種子にはプルナシンだけが存在し,含量は種子の発育とともに減少し, 7月初旬には検出されなくなった. いっぽう, アミグダリンは6月初旬頃から現れ, 含量はその後急激に増加して7月下旬に最大値に達した(100mg/g dw). プルナシン含量の減少に伴ってアミグダリン含量が増加することは, 前者から後者への転換が行われていることを示すものである. 種子は果肉に比べてβ-シアノアラニン合成酵素活性は高い値を示した. 種子中の活性は発育初期ではほぼ一定の値(5.6~7.6μmolH<sub>2</sub>S/g fw/hr)で推移したが, さらにアミグダリン含量の増加に伴って高まり, 最大100μmolH<sub>2</sub>S/g fw/hrに達した.