著者
ルッド キプコリオニー L. 水谷 房雄 文 斗敬 曹 永巽
出版者
Japanese Society of Agricultural Technology Management
雑誌
農業生産技術管理学会誌 (ISSN:13410156)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.29-35, 2003-05-15 (Released:2019-04-16)
参考文献数
20

ブドウ園に植えた5種類のマメ科植物,レンゲ(Astragalus sinicus L.),アカクローバー(Trifolium pratense L.),シロクローバー(Trifolium repens L.),カラスノエンドウ(Vicia angustifolia L.),ヘアリーベッチ(Vicia villosa Roth)について,それらの空中窒素固定能力(ARA:acetylene reduction activity)と窒素栄養について調査を行った。ヘアリーベッチとアカクローバーは地上部のバイオマス量が多かったが,根粒の単位重量あたりの窒素固定能はシロクローバーが最も高く,カラスノエンドウが最も低かった。1月から5月の間では、1植物体当たりの平均ARAはヘアリーベッチで最も高かった。窒素固定能と光の強さもしくは上壌温度の日変化の間には一定の相関は見られなかった。一株当たりの根粒形成数、単位面積当たりの窒素固定量とバイオマス量ではアカクローバーが最も大きかったので,5種の中ではこれが最も有望な果樹園の被覆作物と考えられる。
著者
久保田 尚浩 宮向 真由美 山根 康史 小林 昭雄 水谷 房雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.927-931, 1999-09-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

ブドウの芽の休眠打破に効果のあるニンニクについて, その有効成分を検討するため, 'マスカット・オブ・アレキサンドリア'と'巨峰'の挿し穂に対するニンニクの抽出物と揮発物の休眠打破効果を調査した.市販のガーリックオイルとニンニク磨砕物を挿し穂の切り口に塗布したところ, そのいずれにおいても発芽が著しく促進された.しかし, 凍結乾燥したニンニクからの抽出物および市販のニンニク粉末をラノリンで混和して塗布したところ, 休眠打破の効果は全く認められないか, 極めて小さかった.磨砕したニンニクを煮沸すると, 煮沸しない場合と比較して, 上澄み液, 沈殿物ともに休眠打破の効果が低下した.挿し穂をニンニク磨砕物および市販のガーリックオイルで気浴処理したところ, 塗布処理に比べて効果は小さいものの, いずれの気浴処理でも発芽が促進された.これらのことから, ニンニクに含まれるある種の揮発性物質がブドウの芽の休眠打破に有効であると推察された.ニンニク揮発性物質の休眠打破効果は, 11月のようなブドウの芽の休眠が深い時期ほど大きく, 休眠が浅くなるにつれて低下した.
著者
水谷 房雄 廣田 龍司 天野 勝司 日野 昭 門屋 一臣
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.863-867, 1991
被引用文献数
5

発育中の日本スモモにおける青酸配糖体の含量とβ-シアノアラニン合成酵素活性の変化を調査した. 発育初期の果肉では低レベルのプルナシンが検出されたが(0.6mg/g dw), 発育とともに検出されなくなった. 同様にβ-シアノアラニン合成酵素活性も最も早い採取日に0.3μmolH<sub>2</sub>S/g fw/hrであったが, 果実の発育とともに活性は次第に減少した. しかしながら, 成熟期の果肉ではわずかながら活性の上昇が見られた. いっぽう, 種子では生育期間を通じて全青酸配糖体(プルナシン+アミグダリン)含量は75~100mg/g dwと高かった. 幼果の種子にはプルナシンだけが存在し,含量は種子の発育とともに減少し, 7月初旬には検出されなくなった. いっぽう, アミグダリンは6月初旬頃から現れ, 含量はその後急激に増加して7月下旬に最大値に達した(100mg/g dw). プルナシン含量の減少に伴ってアミグダリン含量が増加することは, 前者から後者への転換が行われていることを示すものである. 種子は果肉に比べてβ-シアノアラニン合成酵素活性は高い値を示した. 種子中の活性は発育初期ではほぼ一定の値(5.6~7.6μmolH<sub>2</sub>S/g fw/hr)で推移したが, さらにアミグダリン含量の増加に伴って高まり, 最大100μmolH<sub>2</sub>S/g fw/hrに達した.
著者
水谷 房雄
出版者
愛媛大学
雑誌
愛媛大学農学部農場報告 (ISSN:09147233)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.9-16, 2003-09

温州ミカンは日本で重要な果実の一つで、生産量は果樹のうちで最も多い。最近、温州ミカンは隔年結果のため、生産量と卸売価格が年ごとに高下の変動を示している。しかしながら、その変動も収束する傾向があり、生産量は110万トン、卸売価格は155円程度になりそうな傾向である。年間の一人当たりの購入量は最近約6kgで維持されており、近い将来、この量が劇的に上昇することは期待できそうにない。最近のデータを利用して、回帰直線から計算すると、300円/kgの卸売価格を得るためには、生産量を約87万トンにしなければならないと思われる。
著者
水谷 房雄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

果樹の主幹部に幅数mmの連結用樹皮を残し、部分的環状剥皮を施し、連結用樹皮の再生を種々の方法で抑制することによって、果樹の小樹化を図ったところ、樹体成長が抑制された。連結用の樹皮を定期的に元の幅に切り戻すと新梢の成長が抑制された。また、植物成長抑制剤のABA, ヒノキチール、トロポロンなどを連結樹皮に処理すると、樹皮の再生と樹体成長の抑制に効果があった。これらの化学物質を連結樹皮部位にのみ処理するので環境にも優しい技術といえる。また、全樹種に適応できる技術であると思われる。