著者
関口 智寛
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.3, pp.182-186, 2005 (Released:2005-07-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3 4

各谷部に1本または2本の二次波峰を持つウェーブリップルマークの形状について,二次元造波水路実験から検討した.その結果,二次波峰を持つリップルは,波が引き起こす振動流の非対称性を反映し,非対称な形状を示すことが明らかになった.二次波峰が1本の場合,二次波峰は谷部の岸側寄りに現れる.二次波峰が2本の場合には,沖傾斜斜面上の二次波峰とその岸側に位置する初期波峰との距離が,岸傾斜斜面上の二次波峰とその沖側に位置する初期波峰の距離に比べて大きく,また,前者の二次波峰は後者より高い位置に現れる.本研究の結果から,地層中の二次波峰を持つリップルから,過去の波の進行方向が推測できると考えられる.
著者
山口 直文 滝 俊文 関口 智寛
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1-2, pp.3-9, 2022-02-28 (Released:2023-01-20)
参考文献数
16

ウェーブリップルの形状への堆積物供給の影響を調べるための造波水路実験を行った.実験では,水理条件がほぼ同一で,上方より降らせる堆積物供給の速度のみを3段階に変化させることでその影響を調べた.堆積物供給速度が比較的小さい実験では,ウェーブリップルの形状は維持されたまま積み重なっていた.堆積物供給速度が大きくなるにつれてウェーブリップルは平坦化され,その領域は広くなった.今回の実験の水理条件および堆積物の条件(水深:0.3 m,波の周期:1.0 s,波の平均波高:76-78 mm,堆積物粒径:0.20 mm)の下では,砂床上昇速度が32 mm/min以上の実験でウェーブリップルの平坦化が観察された.今回の実験は,ウェーブリップル形状は堆積物供給の影響を受けないというこれまでのウェーブリップル葉理形成モデルにおける仮定が,堆積物供給速度が大きい場合には必ずしも成り立たないことを示唆している.
著者
関口 智寛
巻号頁・発行日
2013

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:若手研究(B)2010-2012
著者
関口 智寛
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.3, pp.141-147, 2011 (Released:2011-07-07)
参考文献数
22
被引用文献数
3 1 1

ウェーブリップルは,与えられた振動流条件と堆積物特性の下で,安定的に持続する特定の形状,サイズ,波峰線オリエンテーションを有する.振動流条件が変わるとウェーブリップルはその条件下での定常状態の獲得をめざして遷移する.新たな振動流方向が初期リップルの波峰線と直交する場合,遷移過程は(1)初期リップルと定常リップルの波長の大小関係,(2)振動流の非対称性,(3)堆積物粒径に依存する.とくに,初期リップルの波長が定常リップルのそれよりも大きいと,初期リップルの形状の一部をとどめる遷移リップルが一時的に現れる.地層に見られる遷移リップルは,地層形成時の振動流条件を推測する重要な手がかりとなりうる.