著者
丸山 晃平 吉田 郁政 関屋 英彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00252, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
17

鋼橋において適切な維持管理を必要とする損傷の1つが疲労き裂である.疲労き裂の主な要因は活荷重によって生じるひずみであることから,活荷重の実態把握,すなわち交通荷重とその台数の計測が重要となる.交通量を計測する手法は様々あるが,本研究では加速度センサによる車軸通過時刻の検知手法の提案を行った.計測データには,車軸がセンサ直上を通過した際に生じるパルス波的なピーク応答以外にも,反対橋脚側や隣接車線から伝達する応答が含まれるため,誤検知を極力減らし,高精度にて車軸を検知するアルゴリズムを構築することが重要である.閾値のみによる検知手法の場合,再現率と適合率の調和平均であるF値は54.4%であったのに対し,提案手法では94.1%まで向上し,高精度に車軸の検知を実施できることを示した.
著者
田井 政行 関屋 英彦 岡谷 貴之 中村 聖三 清水 隆史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.378-385, 2021

<p>耐候性鋼橋梁の点検・診断は,防食機能の劣化状態の判定に基づき行われており,その判定には外観評点法が用いられる.しかしながら,外観評点法により的確な評価を行うためには,相応の経験を要するが,昨今の人材不足や点検費用の確保などの課題があり,簡易かつ精度が高い評価手法の確立が求められている.本研究では,耐候性鋼橋梁のさび近接画像と既存の CNNモデルを活用し,外観評点の識別精度について検討を行った.また,識別精度に及ぼす学習・検証用近接画像の画像サイズの影響についても検討を行った.その結果,VGG19及び SEnetの CNNモデルが高い識別精度を示した.また,入力画像サイズが大きいほど識別精度が向上することを明らかにした.さらに,学習と検証に用いた画像の解像度が異なる場合,識別精度が低下する傾向があることを示した. </p>
著者
森近 翔伍 関屋 英彦 田井 政行 高木 真人 丸山 收 三木 千壽
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.48-57, 2020

<p> 疲労き裂に対する補修・補強を行う際,発見したき裂の大きさ,特に深さを把握することが重要である.き裂先端近傍の応力分布の強さを示す物理量である応力拡大係数(K値)は,き裂深さの情報を含むため,現場にて簡易にK値を推定出来れば,推定したK値からき裂深さの推定が可能である.</p><p> そこで本研究では,き裂先端のひずみ分布に基づく非貫通き裂に対するK値の推定方法と,推定したK値による,き裂深さの推定手法について検討した.初めに,き裂形状および鋼板寸法をパラメーターとした数値解析を実施し,K値に基づくき裂深さの推定手法を提案した.次に,提案手法の実用性を検証するため,引張試験片による疲労試験を実施した.その結果,き裂形状に依らず,誤差28%以内の精度にて,非貫通き裂のき裂深さの推定ができる可能性を示した.</p>