著者
田井 政行 関屋 英彦 岡谷 貴之 中村 聖三 清水 隆史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.378-385, 2021

<p>耐候性鋼橋梁の点検・診断は,防食機能の劣化状態の判定に基づき行われており,その判定には外観評点法が用いられる.しかしながら,外観評点法により的確な評価を行うためには,相応の経験を要するが,昨今の人材不足や点検費用の確保などの課題があり,簡易かつ精度が高い評価手法の確立が求められている.本研究では,耐候性鋼橋梁のさび近接画像と既存の CNNモデルを活用し,外観評点の識別精度について検討を行った.また,識別精度に及ぼす学習・検証用近接画像の画像サイズの影響についても検討を行った.その結果,VGG19及び SEnetの CNNモデルが高い識別精度を示した.また,入力画像サイズが大きいほど識別精度が向上することを明らかにした.さらに,学習と検証に用いた画像の解像度が異なる場合,識別精度が低下する傾向があることを示した. </p>
著者
森近 翔伍 関屋 英彦 田井 政行 高木 真人 丸山 收 三木 千壽
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.48-57, 2020

<p> 疲労き裂に対する補修・補強を行う際,発見したき裂の大きさ,特に深さを把握することが重要である.き裂先端近傍の応力分布の強さを示す物理量である応力拡大係数(K値)は,き裂深さの情報を含むため,現場にて簡易にK値を推定出来れば,推定したK値からき裂深さの推定が可能である.</p><p> そこで本研究では,き裂先端のひずみ分布に基づく非貫通き裂に対するK値の推定方法と,推定したK値による,き裂深さの推定手法について検討した.初めに,き裂形状および鋼板寸法をパラメーターとした数値解析を実施し,K値に基づくき裂深さの推定手法を提案した.次に,提案手法の実用性を検証するため,引張試験片による疲労試験を実施した.その結果,き裂形状に依らず,誤差28%以内の精度にて,非貫通き裂のき裂深さの推定ができる可能性を示した.</p>
著者
山下 修平 下里 哲弘 田井 政行 大城 泰樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A
巻号頁・発行日
vol.66, pp.486-496, 2020

<p>From the point of view of rational asset management for the steel bridges, it is very important to evaluate slip resistance-keeping capacities on high strength bolted connections with corroded splice plates. Therefore, the tensile tests with corroded spliced plates were conducted in the past study. From the tensile tests, it has become clear that the slip resistance would be decreased with corrosion thinning of spliced plates. However, the causing factor of axial force decline, which are the cause of decline of slip resistance, haven't become clear in details. In this study, FE analysis of tensile tests with corroded splice plates had been conducted in order to clarify the mechanism of axial force decline in high strength bolted connections with corroded splice plates.</p>
著者
長坂 康史 下里 哲弘 田井 政行 玉城 喜章 日和 裕介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集H(教育)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.35-47, 2019

<p> 鋼橋の維持管理において,適正な点検を実施するためには,その知識と技能が要求される.しかし,現状の学習法は継続的な知識の積上げと実務経験に委ねられる部分が多く,点検技能を効率的,且つ確実に向上させる学習法が必要となる.本研究では,代表的な劣化現象である鋼材腐食に焦点をあて,実橋梁で生じた腐食を3DCGにて可視化し,鋼橋の腐食と点検をデスク上にて擬似体験できる腐食点検学習システムを開発した.本学習システムは,腐食部位にあらゆる角度から自由にアプローチでき,パソコン画面上で,腐食特性や点検技能を効率良く,且つ実践的に習得できることである.アンケート結果より,各橋梁の実腐食データで3DCG化され,自由な可動を特徴とする本学習システムは,腐食点検技能の習得に有効であるとの一定の評価が得られた.</p>
著者
田井 政行 澤田 知幸 下里 哲弘 日和 裕介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.13-20, 2019
被引用文献数
1

<p> 本研究では,風作用により渦励振が生じる照明柱に着目し,無線加速度センサを用いた疲労損傷度推定手法の提案を行った.道路橋照明柱で加速度及び応力計測を実施し,対象照明柱が渦励振により2次モードで振動することが明らかとなり,常時より疲労損傷が蓄積される可能性が示唆された.また,加速度応答から照明柱基部に生じる応力の推定法を提案した.提案手法に基づき算出した疲労損傷度は,応力計測結果から得られた値と同程度であり,加速度計測から疲労損傷度推定の可能性を示した.</p>