著者
小泉 忠史 古家 乾 馬場 英 定岡 邦昌 関谷 千尋 服部 淳夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.1167-1174, 2015-06-10 (Released:2016-06-10)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3

症例は60歳代,インド国籍の男性.2カ月前からの水様性下痢で12 kgの体重減少を認めたため,当科を初診した.初診5日後には脱水による腎機能の悪化を認め,入院となった.血液検査,検便検査,大腸内視鏡検査では特記すべき所見はなく,CT検査では膵の軽度の萎縮を認めた.薬剤等によるcollagenous colitisやceliac spurue,膵外分泌機能不全による下痢を考え加療するも,症状の改善を認めなかった.下痢が出現する約1年半前にオルメサルタンの内服が開始となっていたため,同剤によるenteropathyを疑い,同剤を休薬したところ,水様性下痢は速やかな改善を認めた.重症の下痢症の原因の1つとして記銘すべき疾患と思われた.
著者
関谷 千尋 矢崎 康幸 高橋 篤 沼崎 彰 並木 正義
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.974-980_1, 1979

われわれは肝の硬きを明確にとらえ,それを数値的にあらわしうる肝硬度計を新しく試作し,検討してみた.この肝硬度計は腹腔鏡検査のさい,シルバーマン針の外套管を利用して測定するようにできており,操作は数分で終了する程簡単なものである.しかも,手もとにpilot lampがついており,肝表面に硬度計が遼すると点灯するようにしてあるため,常に一定の条件で測定することができる.したがって,得られた肝硬度1直は再現性が高いだけでなく,腹腔鏡所見や肝生検所見の線維化と非常によく相関していた.一般に,肝の線維化が進む程肝硬度を示す数値は低くなり,肝硬変では最も低い値を示した.今回の成績からこの肝硬度計は肝疾患の診断や病態解明に有用であることが確認された.