著者
野杁 由一郎 恵比須 繁之 薮根 敏晃 朝日 陽子 阿座上 弘行
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究課題は,ヒトのデンタルバイオフィルムに対する化学的制御・抑制法の確立を最終的な目標して行われた。クオラムセンシング(QS)誘導物質であるオートインデューサーの1種であるアシルホモセリンラクトン(AHL)の類似化合物をターゲットにしたが, 10種のAHL類似化合物は検出限界(6. 32~7. 33ng/ ml)以上の濃度では検出されず,デンタルバイオフィルム中にはほとんど存在しないことが明らかとなった。一方, QSを撹乱し抗バイオフィルム作用を示していると推察されるAHL類似化合物や抗菌剤を発見し,これらによる化学的なバイオフィルム抑制法の臨床適用に向けた緒を築いた。この研究成果は,バイオフィルム感染症の新たな治療戦略の開発に有意義な示唆を与えるものであると自負している。
著者
臼井 将勝 阿座上 弘行
出版者
独立行政法人水産大学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

エビアレルギーリスクと摂食方法の関係について明らかにするために、主要アレルゲンであるトロポミオシンの熱安定化因子を構造解析等により検討した。その結果、単純な立体構造、高い水溶性、高い構造可逆性が抗原性保持に寄与することが明らかとなった。また動物試験の結果、加熱は生体内での抗原性低減化にも有効でないことが示唆された。さらに、エビ可食部に含まれる抗原濃度は、加熱調理の有無に係わらず非常に高濃度であること、加熱により溶出率が高くなること、鮮度低下時にも十分に維持されることなどが明らかとなった。以上の結果から、陽性患者がエビを摂食することは、加熱や鮮度に係わらず非常にハイリスクであることが示唆された。