著者
臼井 将勝
出版者
国立研究開発法人水産研究・教育機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

魚類寄生甲殻類や食用昆虫など,学術的知識の応用から甲殻類アレルギー患者での交叉反応リスクが懸念されながらも実際に調査されていないものに目を向け,トロポミオシンという共通アレルゲンの存在に焦点を絞って各食品やその調理品に含まれる濃度や含量を明確にするために研究を行った。その結果、魚類口腔内に寄生するウオノエ類とこれらが混入した調理品や食用昆虫等において、エビトロポミオシン様タンパク質が原材料表示義務の生じる濃度を超えて存在することを明らかにした。さらに、キダイ寄生ウオノエ類を例にLC-MS/MS分析によってトロポミオシン様タンパク質が真にトロポミオシンであることを証明した。
著者
臼井 将勝 阿座上 弘行
出版者
独立行政法人水産大学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

エビアレルギーリスクと摂食方法の関係について明らかにするために、主要アレルゲンであるトロポミオシンの熱安定化因子を構造解析等により検討した。その結果、単純な立体構造、高い水溶性、高い構造可逆性が抗原性保持に寄与することが明らかとなった。また動物試験の結果、加熱は生体内での抗原性低減化にも有効でないことが示唆された。さらに、エビ可食部に含まれる抗原濃度は、加熱調理の有無に係わらず非常に高濃度であること、加熱により溶出率が高くなること、鮮度低下時にも十分に維持されることなどが明らかとなった。以上の結果から、陽性患者がエビを摂食することは、加熱や鮮度に係わらず非常にハイリスクであることが示唆された。
著者
宮崎 泰幸 河邉 真也 山下 翔大 小島 綾夏 臼井 将勝
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.763-770, 2016 (Released:2016-10-06)
参考文献数
18
被引用文献数
2

くさみを抑制するとされる郷土料理の一つ,魚の糠味噌炊きの効果を検証することを目的とし,マアジの水煮調理の際糠あるいは糠味噌を添加して,においの改善効果を調べた。糠あるいは糠味噌を加えると調理時のトリメチルアミンの生成を抑え,保蔵時の脂質酸化で生じるアルデヒドなどのカルボニル化合物の増加を抑制した。官能検査では,魚臭さの低減が糠炊きで有意となった。しかし糠味噌炊きの風味は,糠床漬け物を食した経験のない多くのパネルには嫌われた。