著者
村川 美也子 星川 恭子 中川 美奈 田中 聡司 由雄 祥代 須田 剛生 阿部 和道 黒田 英克 飯島 尋子 日本肝臓学会キャリア支援・ダイバーシティ推進委員東部会ワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.476-486, 2023-10-01 (Released:2023-10-12)
参考文献数
8

第44回日本肝臓学会東部会のキャリア支援・ダイバーシティ推進委員会関連企画の一環として,学会参加者を対象にキャリア支援・学会・SNSに関するアンケート調査を実施し,238名(男性78%,女性22%,40歳未満21%)から回答を得た.「希望するキャリアを継続する際の大きな障害」について最多回答は「時間的な余裕」(61%),次いで「支援体制の不備」(43%)であり,「キャリア支援・ダイバーシティ推進において重要だと思うこと」は「働く環境の整備」(58%)が最多だった.また,学位の取得や留学については肯定的な意見が多かった(学位81%,留学75%).必要な学会の取り組みとしては,学術集会・教育講演会のハイブリッド開催(74%)や単位更新のweb化(51%)の要望が多かった.さらにSNSを利用している割合はFacebook 44%,Twitter 32%であり,Twitterは若い年代で多かった.
著者
阿部 和道 高橋 敦史 大平 弘正
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.772-779, 2013 (Released:2013-05-07)
参考文献数
65

自然免疫応答は病原体の体内への侵入に対し初期におこる生体反応である.近年,自然免疫の過剰反応が自己免疫性疾患の発症に関与することが明らかになってきた.肝臓は独自の免疫機構を有し,自己免疫性肝疾患である自己免疫性肝炎(AIH),原発性胆汁性肝硬変(PBC),原発性硬化性胆管炎(PSC)においても,自然免疫に関する知見が数多く示されている.PBCではToll様受容体を主体とする自然免疫と病態形成に関する研究が進められ,AIHやPSCにおいても腸管微生物由来の病原体関連分子パターンとパターン認識受容体を介する病態の関与が推察されている.自然免疫の理解がこれら疾患の病態を考える上で重要である.
著者
斎藤 広信 高橋 敦史 阿部 和道 物江 恭子 菅野 有紀子 横川 順子 大平 弘正
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.65-69, 2011 (Released:2011-02-18)
参考文献数
14

症例は65歳,男性.両肩関節痛を認め,近医整形外科で受診し,変形性肩関節症と診断された.1カ月後から両膝・両手首の関節痛も出現し,肝機能異常と貧血も認めたため入院した.免疫グロブリンの低下およびカルシウム値の増加から血液疾患を疑い,骨髄穿刺検査を施行した.骨髄検査ではCD138陽性の異型形質細胞がびまん性に増生し,造血細胞巣の70%以上を占め,頭部レントゲン検査での打ち抜き像,尿中Bence Jones蛋白陽性,血清蛋白免疫電気泳動と併せ,Bence Jones型の多発性骨髄腫と診断した.肝機能異常については,経過から薬物性肝障害は考え難く,自己抗体も陰性で画像所見においても異常所見が無いことから,肝生検を施行した.肝組織所見では,類洞内に骨髄と同様に多数のCD138陽性の異型形質細胞が浸潤し,肝細胞壊死を伴っていた.以上のことから,本例の肝障害の原因は多発性骨髄腫によるものと判断した.肝生検にて骨髄腫が肝障害の原因として診断された症例は稀であり報告する.
著者
横川 順子 大平 弘正 宍戸 昌一郎 阿部 和道 雷 毅 滝口 純子 小原 勝敏 佐藤 由紀夫
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.401-406, 2003-08-25
被引用文献数
2 2

症例は57歳の女性. 両手指の皮膚硬化, Raynaud 症状, 毛細血管拡張を認め, 血液検査で抗核抗体, 抗セントロメア抗体陽性から不完全型CREST症候群と診断された. また, 軽度の肝機能異常も指摘され, ウルソデオキシコール酸の投与で改善が得られていた. 平成14年5月上旬から顕性黄疸が出現し, 当科へ紹介となった. トランスアミナーゼ, 胆道系酵素および総ビリルビン値15.8mg/d<i>l</i>と高度の上昇を認めた. 肝生検組織像では, 門脈域の線維性拡大と著明なリンパ球浸潤がみられ, 肝細胞のロゼット形成も認められた. AIHの国際診断基準ではAIH確診例と判断され, 不全型CREST (RST) 症候群に合併したAIH例と診断した. 入院時PTが50.3%と劇症化も危惧されたため, 入院当日より副腎皮質ホルモンの投与を開始し著明な改善がみられた. AIHとCREST症候群の合併例は極めて稀であり, 貴重な症例と考え報告した.