著者
久持 顕子 神代 龍吉 古賀 郁利子 田中 英介 井出 達也 日野 照子 村島 史朗 緒方 啓 桑原 礼一郎 古賀 浩徳 宍戸 昌一郎 上野 隆登 佐田 通夫 江口 尚久
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.100, no.3, pp.333-336, 2003-03-05 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8

症例は51歳女性, 1989年より2型糖尿病と高脂血症でグリベンクラミドなどで加療中であった. ピオグリタゾンの追加投与開始81日後に, 肝細胞型肝障害が認められた, 同薬の中止4週間後に肝機能は正常化した. チトクロームP450 (CYP) 2C19遺伝子型は2/2, CYP2C9遺伝子型は1/1であった. トログリタゾンと類薬の本剤によっても肝障害のおこる可能性があり, 注意が必要と思われる.
著者
横川 順子 大平 弘正 宍戸 昌一郎 阿部 和道 雷 毅 滝口 純子 小原 勝敏 佐藤 由紀夫
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.401-406, 2003-08-25
被引用文献数
2 2

症例は57歳の女性. 両手指の皮膚硬化, Raynaud 症状, 毛細血管拡張を認め, 血液検査で抗核抗体, 抗セントロメア抗体陽性から不完全型CREST症候群と診断された. また, 軽度の肝機能異常も指摘され, ウルソデオキシコール酸の投与で改善が得られていた. 平成14年5月上旬から顕性黄疸が出現し, 当科へ紹介となった. トランスアミナーゼ, 胆道系酵素および総ビリルビン値15.8mg/d<i>l</i>と高度の上昇を認めた. 肝生検組織像では, 門脈域の線維性拡大と著明なリンパ球浸潤がみられ, 肝細胞のロゼット形成も認められた. AIHの国際診断基準ではAIH確診例と判断され, 不全型CREST (RST) 症候群に合併したAIH例と診断した. 入院時PTが50.3%と劇症化も危惧されたため, 入院当日より副腎皮質ホルモンの投与を開始し著明な改善がみられた. AIHとCREST症候群の合併例は極めて稀であり, 貴重な症例と考え報告した.
著者
入澤 篤志 高木 忠之 渋川 悟朗 佐藤 愛 池田 恒彦 鈴木 玲 引地 拓人 佐藤 匡記 渡辺 晃 中村 純 阿部 洋子 二階堂 暁子 宍戸 昌一郎 飯塚 美伸 鈴木 啓二 小原 勝敏 大平 弘正
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.29-36, 2011 (Released:2011-03-07)
参考文献数
27
被引用文献数
2

慢性膵炎の予後は芳しくなく,より早期での慢性膵炎診断の重要性が認識されていた.早期慢性膵炎は微細な膵実質・膵管変化のみが伴うと考えられ,従来の画像診断(体表超音波検査,CT,内視鏡的逆行性胆膵管造影:ERCP,など)では異常を捉えることは困難であった.近年,超音波内視鏡(EUS)による慢性膵炎診断が提唱され,その有用性は高く評価されてきた.EUSは経胃もしくは経十二指腸的に,至近距離から高解像度での観察が可能であり,他の検査では捉えられない異常が描出できる.2009年に慢性膵炎診断基準が改定され早期慢性膵炎診断が可能となり,この診断基準にEUS所見が明記された.より早期からの医療介入のためにも,慢性膵炎診療におけるEUSの役割の理解はきわめて重要である.特に,上腹部痛や背部痛を訴える患者で,明らかな消化管異常が認められず慢性膵炎が疑われる症例においては,積極的なEUS施行が推奨される.