- 著者
-
小原 勝敏
- 出版者
- 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
- 雑誌
- 日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.6, pp.1347-1360, 2015 (Released:2015-07-01)
- 参考文献数
- 32
食道静脈瘤の治療法として,保存的治療(薬物療法,バルーンタンポナーデ法),内視鏡的治療(EIS,EVL),外科的治療が施行されてきたが,本邦における出血例に対する第一選択の治療法はEVLであり,待期・予防例ではEISやEVLが一般的に施行されている.しかしながら,待期・予防例を安全かつ効果的に治療するためには,食道・胃静脈瘤の内視鏡所見記載基準の知識,治療適応および禁忌例の把握,使用する各種硬化剤の作用機序の熟知,患者の病態および門脈血行動態(特にEUSおよび3D-CT)からみた適切な治療法の選択,各種治療手技の習得,起こり得る合併症とその防止対策,治療後の定期的な経過観察といった総合的な知識力や各種手技の習得が必要である.ここでは,EBMに基づいた国外での食道静脈瘤治療を含め,本邦の食道静脈瘤患者に適した最良の治療戦略について述べる.