著者
吉田 節朗 原田 忠 上坂 佳敬 浅沼 義博 鈴木 克彦 丹羽 誠 伊藤 正直 小山 研二 櫻田 徹 阿部 忠昭 宮形 滋
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.882-890, 1989

術後肝不全9例に対する血漿交換療法を検討した.血漿交換奏効例に共通する特徴としては,1) T. Bilが血漿交換開始時15mg/dl以下で7日目7mg/dl以下,2)アンモニアが血漿交換開始時200mg/dl以下で7日目正常域,3) BCAA/AAAの改善,4)プロトロンビン時間14秒以内,5)臓器不全は2臓器以下,6)昏睡度改善,7)血漿交換回数5回以内の7点が挙げられた. <BR>本法の施行にあたっては,T. Bil,昏睡度を指標とし,できるだけ早期に開始することが重要であるが,効果の判定については,T. Bil,アンモニア,BCAA/AAA, PT,不全臓器数,昏睡度,血漿交換施行回数,術前肝障害などの因子を総合的に判断する必要がある.著者は施行開始後7~10日目に上記パラメーターの改善が得られなければ血漿交換はいたずらに継続すべきではないと考える.
著者
大久保 正 阿部 忠昭 栗林 良正 佐藤 護 贄田 茂雄 高橋 昌規 金沢 知博 田沢 勝雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.73-78, 1976-01-31 (Released:2013-05-24)
参考文献数
16

肺動脈狭窄症状を示した29歳男子の右心室粘液腫の一治験例を報告するとともに文献的考察を加えた.患者は運動時呼吸困難を主訴とし,第2肋間胸骨左縁に3/6度程度の収縮期駆出性雑音を聴取したが,体位により変動するのが特徴的であった。心カテーテル検査では肺動脈一右室聞に85m磁H墓の収縮期圧較差を認め,右室造影で右室流出路から肺動脈主幹部にかけての陰影欠損を認めたため右心室内腫瘍と診断し,腫瘍摘出術を施行した.右心室内粘液腫は現在まで本症例を含めて15例の報告がみられる。腫瘍摘出術を受けた11例中9例は術後全く良好だった一方,肺動脈閉塞による突然死も報告されており早期手術が望ましい.