著者
阿部 郁男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_301-I_306, 2017 (Released:2017-10-17)
参考文献数
10

現在,南海トラフ地震による巨大津波の波源モデルが公表され,このモデルに基づく被害想定により,防災対策が進められている.しかし,駿河湾内には1498年の明応東海地震によって,現在の被害想定を超える津波痕跡が指摘されており,今後の津波対策の見直しのためには,それらの津波の発生および伝播状況を明らかにすることが重要である.そこで,本研究では,これまでに提案されている波源モデルの検証を行い,既存のモデルが駿河湾内の津波痕跡記録を再現できないことを示した.さらに,駿河湾内に局所的な津波の発生条件を検討し,駿河湾内で局所的に20~43mの津波を発生させることにより,これらの津波痕跡を概ね再現できることを示した.
著者
阿部 郁男 今村 文彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_1705-I_1710, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
13

東日本大震災発生前より,リアルタイム津波予測の研究が行われている.それらの研究では,データベースによる予測とリアルタイムシミュレーションによる予測という2つの方法が検討されていた.そして大震災発生後には,リアルタイム測地データによる地盤変動の即時推定技術を津波予測に取り入れる研究も進められている.そこで,本研究では,これらの技術を併用することにより,PCなどの安価な計算機を利用した場合でも,避難に役立つ精度の高い津波浸水予測を得ることができる手法を検討した.東日本大震災での事例を用いて4つの研究対象地域を選択し,地震発生後10分で得られる浸水予測情報を具体的に示した.さらに,浸水範囲や浸水高の実測値と比較することにより,本研究で提案した予測手法の精度の確認を行うことができた.