著者
今村 文彦 佐藤 翔輔 柴山 明寛
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.241-252, 2012-07-01 (Released:2012-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

東北大学災害科学国際研究所では,総務省,国立国会図書館,文部科学省,科学技術振興機構,全国および東北企業,海外などの80を超える機関と連携して,東日本大震災に関するあらゆる記憶,記録,事例,知見を収集し,国内外や未来に共有する東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」を展開している。本プロジェクトは,今回の震災の被災地を中心にして,歴史的な災害から東日本大震災について分野横断的な研究を展開し,東日本大震災の実態の解明や復興に資する知見の提供を進めていく。これらの取り組みは,低頻度巨大災害の対策・管理の学問を進展し,今後発生が懸念される東海・東南海・南海地震への対策に活用する。本稿では,産学官民の連携を通した活動の事例について紹介する。
著者
後藤 和久 飯嶋 耕崇 和田 浩二 今村 文彦 常 昱
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.207-213, 2013-12-25 (Released:2017-08-25)

天体が海洋に衝突した場合,巨大津波の発生が懸念される.本稿では,太平洋への隕石落下頻度を検討し,数値計算に基づき日本への衝突津波リスク評価を予察的に行った.その結果,他の災害に比べれば衝突津波の発生頻度は低いものの,現実的な災害リスクとして認識する必要があることがわかった.衝突津波のリスクは確率的に評価が可能なため,現在の量的津波予報のような形でデータベース化することが可能であると考えられる.将来的には,衝突から津波伝播・遡上までの一連の過程の計算を連続的に行うことが望ましい.数値計算技術の高度化が進めば,火星の古海洋の存在可能性の検討など,惑星科学分野での応用範囲も広いと考えられる.
著者
牛山 素行 今村 文彦 片田 敏孝 吉田 健一
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.150-158, 2004 (Released:2004-06-01)
参考文献数
12
被引用文献数
4 4

近年急速に整備されつつある豪雨防災情報の実災害時における効果を評価する観点から,現地調査を行った.調査は2007年7月に台風6号および前線によって,最近30年で最大規模の被害(浸水家屋約700棟など)を生じた岩手県東山町・川崎村を対象とし,水文データの収集,現地でのヒアリング,アンケート調査(有効回答700)などを行った.災害時に,インターネットなどのリアルタイム雨量・水位情報を参照した回答者は5%程度であり,24%の回答者はシステムの存在を知っていたが利用していなかった.川崎村では74%の回答者が,避難などの判断に際して「雨量・水位などの情報を参考にした」と答えた.同村では防災行政無線を通じて国土交通省観測の水位情報などをリアルタイムに伝達しており,この情報が参考にされたものと思われる.車の移動,畳上げなどの家財保全行動の成功・失敗と,雨量・水位情報の取得成功・失敗の相関を見たところ,情報取得に成功した回答者は,家財保全行動に失敗した率が低いという関係が認められた.リアルタイム情報に対する関心自体は高く,情報が的確に伝われば,避災行動の成功につながる可能性が示唆された.しかし,災害時の情報伝達手段としてインターネット等は一般化しておらず,最新技術に過度な依存をせず,複数の情報伝達手段を活用することが効果的と思われる.
著者
柳澤 英明 越村 俊一 宮城 豊彦 今村 文彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.286-290, 2008-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13

The fragility function of mangrove forest was proposed based on field surveys and the numerical analysis focusing mangrove forests affected by the 2004 Indian Ocean tsunami. The curve of growth for mangroves (Rhizophora spec.) was also proposed in order to estimate the change of the tsunami reduction effect depending on the age of them. Using these proposed functions, the numerical modeling was carried out to evaluate a tsunami reduction effect. As the results, we found that the mangrove forest with 10-year-old is mostly destroyed and the reduction effect rapidly decreases when the tsunami inundation depth exceeds 4m.
著者
黄 國賓 杉浦 康平 赤崎 正一 今村 文彦 荒木 優子 山之内 誠 さくま はな 曽和 英子 Kuo-pin HUANG Kohei SUGIURA Shoichi AKAZAKI Fumihiko IMAMURA Yuko ARAKI Makoto YAMANOUCHI Hana SAKUMA Eiko SOWA
雑誌
芸術工学2014
巻号頁・発行日
2014-11-25

本研究は中国雲南省の麗江地区を基軸に、トンパ文字とその特異な造形、宗教的背景を明らかにし、トンパ文字の構造原理と新たなビジュアル・コミュニケーションツールを開発するための基盤研究を確立する。本研究はトンパ文字の造字原理の考察をはじめ、現地でのフィールドワーク調査、トンパ文字を再デザインする仕組み、また、先例の視覚言語の表現や漢字の構造をも分析の視野にいれ、トンパ文字の表現の可能性について研究を行った。その結果、以下の結論を得た。すなわち、トンパ文字は象形文字であるため判読がしやすく、時間軸、空間軸、動詞などの記号を組み合わせれば、トンパ文字としての視覚言語のシステムを構築する可能性が高いと示唆した。一方、文字としての記述、伝達の機能が欠け、覚えにくいということが最大の欠点であり、漢字の変遷原理を探究すれば、書きやすく、覚えやすいトンパ文字が作られると考えられる。
著者
根本 信 横田 崇 高瀬 嗣郎 今村 文彦
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.2_25-2_41, 2019 (Released:2019-05-31)
参考文献数
31

2011年東北地方太平洋沖地震の津波断層モデルとしては,これまでに多くのモデルが提案されている.しかし,これらのモデルでは一部の観測データは説明できるものの,GNSSの連続観測データや沿岸の津波痕跡高分布を含めて総合的に評価されていない.本研究では,沖合津波波形データ,陸域・海域測地データ,GNSS連続観測データおよび津波痕跡高データを用いて,これらのデータを説明する津波断層モデルを線形と非線形のインバージョン解析により構築した.その際,断層すべりを与えるプレート境界面として,横田ら(2017)で提案された現実的なプレートモデルを用いた.解析の結果,地震発生から約1分後に宮城県沖で主要な断層すべりが生じるとともに岩手県沖の海溝軸に沿って地震発生から4分後までゆっくりとしたすべりが継続する断層モデルが推定された.
著者
樋渡 康子 佐藤 魂夫 今村 文彦
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.431-440, 2002-04-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Three earthquakes and accompanying tsunamis of 1704, 1793 and 1804 hit the coastal area of the Aomori-Akita districts in the northern part of Japan Sea, causing several hundreds of fatalities and serious damages to houses and ships. In this study, we simulate the generation and the propagation of these tsunamis by assuming several fault models, and determine a set of fault parameters for each earthquake that best fits the observed distributions of tsunami heights and crustal uplifts. The fault model previously proposed by Sato (1980) for the 1704 Iwadate earthquake generally explains the observed tsunami heights, but a similar model with the fault length 3km longer towards the north is more consistent with the reported crustal uplift at Henashi peninsula. For the 1793 Ajigasawa earthquake, a fault model lying off the coast of Tsugaru peninsula better explains the observed tsunami heights around Ajigasawa. The tsunami simulation also corroborates the observation that tsunami caused by the event might flush into the Jyusan Lake. Among several fault models tested for the 1804 Kisakata earthquake, a fault model located most offshore shows the best agreement with the observed distribution of tsunami heights. The tsunami simulations for the 1704 Iwadate and 1804 Kisakata earthquakes show that the tsunamis are largely amplified at Oga peninsula. The amplification is ascribed to an energy concentration by the reflection in the 1704 Iwadate tsunami and the edge wave trapped in the shallow sea in the 1804 Kisakata tsunami, respectively. Both are important mechanisms affecting the heights of tsunamis along the Japan Sea coast.
著者
柴山 明寛 北村 美和子 ボレー セバスチャン 今村 文彦
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.282-286, 2018-06-15 (Released:2018-07-17)
参考文献数
10

東日本大震災関連のデジタルアーカイブは、震災直後から様々な機関や団体により自然発生的に構築が始まり、震災から6年半が経過した現在数十の構築がなされ、数百万点の記録の公開がなされている。本論文では、東日本大震災で様々な機関・団体が構築した震災デジタルアーカイブの事例と変遷についてまとめると共に、自治体における震災デジタルアーカイブの公開内容や構成要素を明らかにする。さらに、東日本大震災の震災デジタルアーカイブの全体を通して課題を明らかにし、今後の震災デジタルアーカイブのあり方について論じる。
著者
首藤 伸夫 三浦 哲 今村 文彦
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

標準的には、津波は海底地震にともなって発生するものとされており、その初期波形を断層パラメーターに基づいて計算するのが現在の一般的な手法である。しかし、断層運動と海底地盤の変動の大小とに一定の関係が存在するという保証はない。(1)2枚の断層からなる1983年の日本海中部地震では、断層運動から推定される津波と現実の津波の間に矛盾があった。その最大の難点は、現実の津波が深浦地点で約2分、能代辺りで約10分早く到達することである北断層では主断層と共役である方向に副断層の存在した可能性があり、これを考慮すると深浦への到達時間は説明できた。南断層では、通常の地震計では記録できない地盤変動が生じたとすると能代周辺の津波到達時間を説明できた。しかし、この時、何故この第1波が能代の検潮記録に記録されなかったかの疑問が残る。当時の写真から第1波のソリトン波列への発達が確認され、検潮所の水理特性により記録されないことが確認された。(2)1992年のニカラグァ津波では、陸地で感じられた地震動が震度2(気象庁震度階)であった。津波発生のメカニズムを検討した結果、地震動を伴ってはいたが、津波地震とするのが適当であることが判った。(3)1993年の北海道南西沖地震で発生した津波の内、北海道西岸を襲った津波第1波は、その襲来が早かった。断層位置から発生した津波は、現実の津波より5分ほど到達が遅い。断層と海岸の間で、地震とは直接関係の無い津波発生機構があった事が強く示唆された。(4)地震動を伴わない津波発生の内、犠牲者3万人を越えると言われている1883年クラカトア島陥没による津波発生を再現した。発生箇所での急激な陥没を不安定を起こさずに計算できる手法を開発した。
著者
長野 真紀 今村 文彦 黄 國賓 Maki NAGANO Fumihiko IMAMURA Kuo-pin HUANG
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2016
巻号頁・発行日
2016-11-25

本研究では、福佬(Ho-lo)人の移住文化を対象に、その歴史と暮らしの変遷、居住環境について分析・考察した。研究対象地は周囲を海に囲まれた環境下にあり、独自の伝統文化や習俗、空間構造を継承している。このような地理的・文化的環境の中で、東アジアの結節点となる台湾領域中国福建省金門島及び八重山諸島石垣島を主対象に捉え、研究を展開した。 金門島では、血縁による結びつきが重視され、同一氏族により形成された宗族的つながりを強く持つ単姓村と、多数の氏により形成される複姓村に分類される。対象集落は、海岸線に沿った緩やかな台地に立地し、1315 年頃に福建省厦門からの移住者が開墾した農漁村集落である。住居は四合院で構成され、一定の領域内で中規模な空間を形成しているが、宗族ごとに住居の向きが異なり、それぞれに方向軸を持っているため各時代の空間形成の発展性を読み取ることができる。 また、集落は明確な境界域を定めず、人口増加に対応しながら空間を拡張している。これは、島に福佬人しか居住していないこと、地形条件に対する制限が少ないことが要因として考えられる。台湾本島や石垣島では、住居の周囲は自然地形や植栽などにより空間を補っている場合が多い。
著者
早川 哲史 今村 文彦
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.51-66, 2002-05-31
参考文献数
19
被引用文献数
3
著者
鈴木 介 今村 文彦
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.521-538, 2005-02-28
参考文献数
12
被引用文献数
1

The purpose of the present study is to develop and improve the simulation model of tsunami attack evacuation by including the experience, recognition, and knowledge of the people in each area affected by tsunamis. Firstly, we carried out two field surveys to clarify various factors that influence selection of evacuation routes for making a synthetic judgment model. We determined regional knowledge, altitude, road information, road signs, following process, and functions on the route to be major factors in the route selection. A comparison with results of a field survey in the case of a tsunami evacuation drill at the coastal village in Sendai city shows that with the improved model, we obtained more than 80% agreement on selection of evacuation routes and time to the safety area. Secondly, we designed a questionnaire to be distributed at the time of the drill, which provided us with information to determine route selection process, parameters and initial conditions of the evacuations. Furthermore, the improved model, including means of evacuation, such as by foot or in vehicles, is developed and applied to this area. In the case assuming that all residents evacuate at the almost same time in the night, it is suggested that most traffic congestion occurs on the major roads, which long time it takes people to complete the evacuation.
著者
佐藤 翔輔 今村 文彦
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.383-396, 2019 (Released:2019-05-20)
参考文献数
11

本稿では,2018年西日本豪雨災害を対象に,発災当時に発信されていた「# 救助」ツイートに対する内容分析を,先行研究として実施した2017年7月九州北部豪雨の事例と比較しながら行った。その結果はつぎのようにまとめられる。1)「#救助」ツイートで,場所や人数等の具体的な状況を記述している「救助要請」のニーズを発信していたツイートは,分析対象の2,171件のうち,16.5 %とごくわずかであり,「救助要請」を実際に求めているツイートが埋没し,ハッシュタグ「#救助」による検索か゛困難て゛あった状況か゛定量的に確認された。2)「#救助」は付与されているものの,「救助要請」て゛はない, 「#救助」の存在や注意点を紹介するニュース記事とそのリンクや,一般ユーザーからの善意の投稿は依然として多く存在していた。「#救助」ツイート のうち,真に「救助要請」を行っていた発信の比率は,西日本豪雨災害では九州北部豪雨災害に比べて倍程度となり,やや検索・抽出しやすい状況になったものの,被災地外の不急の発信は依然として多いことが明らかになった。
著者
SUPPASRI Anawat 山下 啓 LATCHAROTE Panon ROEBER Volker 林 晃大 大平 浩之 福井 謙太朗 久松 明史 今村 文彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_1597-I_1602, 2017
被引用文献数
1

2016年11月22日にMw 6.9の福島県沖地震による津波が発生した.震源は福島県沖であったが,最大津波高は宮城県において観測された.宮城県では地震発生から約2時間後に仙台新港において水位1.4 mの第2波目の津波の観測により,津波注意報から津波警報に切り替えられた.本稿はその特徴を理解するために,津波数値解析と現地調査を行った.数値解析では震源から仙台湾に到達する津波伝播の様子を再現し,断層の走向と仙台湾の地形の影響によって生じた津波の屈折および反射等により仙台新港における津波が高くなることを説明できた.また断層走向が90度の場合でも,仙台新港における津波波形を比較的良好に再現できた.他方,現地調査では,宮城県東松島市宮戸地区で最大T.P.+4.0 mまで遡上したことが分かった.また,ドローン画像より,仙台市蒲生地区の津波浸水域を推定できた.