- 著者
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加藤 雪枝
橋本 令子
雨宮 勇
- 出版者
- 椙山女学園大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1999
現代の社会生活においては、毎日の生活の中に人間が本来求めている方向性を見極め、安らぎのある生活空間を特に必要としている。本研究は最も身近な環境すなわち、生活環境の色、室空間容積と照明や音環境などを整え、日々のストレスを解消していく環境とは何かについて研究するものである。生理学的には刺激に対する人体反応の評価方法として有効な中枢神経活動や自律神経活動の測定方法を用いた。中枢神経活動の測定には脳波計を用い、自律神経活動の測定では心電計を用いた。心理学的にはSD法を実施し、因子分析などの解析法を用いた。生活環境下の光色刺激、室内空間や被服の色などの身近な生活環境の色彩について心理的・生理的影響を調べ、比較検討した。対象が異なっても、心理評価の活動性の因子は刺激の高い色において高まり、その結果、α波含有率が抑制され、HF成分は小値となり、評価性の因子が低下することが確認された。音刺激を受けるとα波含有量が増加する環境音は、小鳥のさえずりと風鈴であり、リラックス状態を示した。また花火は、情景を連想して興奮状態となるが、快適な気分となることが確認できた。ヒーリング音楽は、音楽開始後にα波含有量が増加し、音楽を聴取した場合の影響がわかった。そしてヒーリング音楽は、単調で落ち着く音楽が生理評価と心理的評価においてよい影響を与えることが明らかとなった。好みの音楽は、快適感を得る音楽と明るく元気のでる音楽が生理的、心理的評価によい影響を与えた。空間容積、内装色、照度の違いによる快適感の実験である。空間容積では、天井高が2.3〜2.7mで見ると4種の面積のうち6、12畳の長方形空間が快適感が高く、天井高2.3mに限定すると4,5畳が最も高いことがわかった。照度では、270Lx近辺で快適性の高い範囲があり、これは被験者の自室の大きさに近いことが影響を与えていると考えられる。照度を5Lx〜1500Lxに広げると照度が増す毎にα波出現率が下がることが示唆された。