- 著者
-
青木 琢
國土 典宏
- 出版者
- 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
- 雑誌
- 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.4, pp.262-265, 2013 (Released:2014-01-31)
- 参考文献数
- 15
膵原発神経内分泌腫瘍(P-NET)は,他臓器原発NETと比較し悪性例,転移陽性例の頻度が高いため,原則として全例治療適応となる。治療の第一選択は外科切除であり,原発巣の切除術式は腫瘍のサイズ,主膵管との位置関係,悪性の可能性に基づき決定されるが,リンパ節郭清の基準,縮小手術の適応基準はいまだ明確にはされていない。遠隔転移,特に肝転移の制御は予後の観点から臨床的には最重要課題の一つと考えられる。遠隔転移例に対しても切除可能であれば切除が推奨されるが,治癒切除率は高くなく,また切除後高率にみられる再発に対する有効な治療法が開発されていない点が問題となっている。切除単独療法による根治が困難である現在,抗腫瘍治療(ホルモン治療,抗癌剤,分子標的薬)と外科治療のさまざまな組み合わせが期待されており,長期生存から治癒を目指したストラテジーへの転換が求められている。