- 著者
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古澤 明
青木 隆朗
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
本研究では、高レベルスクイーズド光の生成とそれによる高レベル量子エンタングルメントの生成、測定およびフィードフォワードを用いたユニバーサルスクイーザー、量子非破壊測定(量子非破壊相互作用)の実現を目的としている。具体的な研究成果は以下のようなものである。(1)周期分極反転KTiOPO_4(PPKTP)疑似位相整合結晶を非線形媒体とした光パラメトリック発振器(OPO)を作製し、高レベルスクイーズド光の生成に成功した。まず、波長946nmにてその可能性を明らかにした。その結果に基づき、高いポンプパワーを期待できる波長860nmで実験を行い、14年ぶりに世界記録を塗り替え7dBのスクイーズを達成した。さらに、測定系の位相揺らぎを抑えることにより、9dBのスクイーズを達成した。これらの成果により、生成できる量子エンタングルメントのレベルは格段に高まった。(2)測定およびフィードフォワードの手法の代表例は、量子テレポーテーションと呼ばれる波動関数の伝送であり、そのフィデリティはこの手法の成功の度合いを示す(フィデリティ1=100%成功)。したがって、本研究で生成に成功した高レベルスクイーズド光を用い、量子テレポーテーションのフィデリティを測定してみた。その結果0.83という高い値が得られ、この高レベルスクイーズド光を用いれば、測定およびフィードフォワードの手法を高い確率で成功させられることが明らかとなった。(3)高レベルスクイーズド光を用いて生成した高レベル量子エンタングルメントと併せて、測定およびフィードフォワードの手法を用いることにより、ユニバーサルスクイーザーを作製することに成功した。(4)ユニバーサルスクイーザー2台を作製し、これらをさらに可変ビームスプリッターを用いて結合することにより、量子非破壊相互作用装置を作製した。これを用いて、2つの共役な変数(直交位相振幅成分)に於いて量子非破壊測定を行った。これらは、いずれの場合に於いても成功した。また、この結果から、この量子非破壊相互作用装置の2つの出力はエンタングルしていることが明らかになり、量子ビットの制御NOTゲートと同様に、エンタングリングゲートとしての働きがあることがわかった。