著者
片山 英樹 青江 啓介 関 千尋 阿部 宏美 三村 雄輔 上岡 博
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.202-208, 2012 (Released:2012-08-13)
参考文献数
12

緩和ケア病棟へ入院中の進行がん患者48名の血清マグネシウム値を測定し, マグネシウム製剤の内服の有無や全身状態とその臨床的意義を検討した. 血清マグネシウムの平均値は2.09 mg/dlであり, マグネシウム製剤投与例の平均値は2.17 mg/dlと, マグネシウム製剤非投与例の平均値1.80 mg/dlに比べて有意に高値であった(p=0.006). 基準値(1.8~2.8 mg/dl)を外れた高マグネシウム血症を2例, 低マグネシウム血症を8例に認めたが, 臨床的にマグネシウム異常に関連した症状は認められなかった. また, マグネシウム製剤の投与期間, 投与量と血清マグネシウム値との関連も認められなかった. 今回の検討では血清マグネシウム値の著明な異常は認められず, 臨床的にもマグネシウム異常に関連した症状はみられなかった. しかし, 緩和ケア病棟の患者はマグネシウム異常をきたしやすい状態であり, かつマグネシウム異常に伴う症状はがんの進行時にみられる症状と類似している. そのため, 特に終末期でそのような症状を呈した場合, 血清マグネシウム値の異常についても留意する必要があると考えられた.
著者
豊岡 伸一 高野 利実 高坂 貴行 堀田 勝幸 松尾 恵太郎 市原 周治 藤原 義朗 宗 淳一 大谷 弘樹 木浦 勝行 青江 啓介 谷田部 恭 大江 裕一郎 光冨 徹哉 伊達 洋至
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.409-415, 2009 (Released:2009-10-08)
参考文献数
20

目的.ゲフィチニブ投与患者では上皮成長因子受容体(EGFR)変異例で予後が良いことが報告されている.一方,喫煙,性差はEGFR変異に影響し,さらに,肺癌の予後因子であることが示唆されている.本研究では,EGFR変異,性差,喫煙が,ゲフィチニブ治療を受けた肺腺癌患者の生存期間に与える影響を検討した.対象と方法.ゲフィチニブにより治療された肺腺癌患者362例において,EGFR変異,性差,喫煙が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)に及ぼす影響を評価した.結果.EGFR変異は169例(46.7%)に認めた.多変量解析では,変異例で野生型例に比べOSおよびPFSが有意に長かった(P<0.001).EGFR変異の有無による群別で性差,喫煙量は,OSおよびPFSの延長とは関連がなかった.一方,性別,および,喫煙により分類した群別での解析では,EGFR変異は,OS,PFSの延長と有意な関連を認めた(P<0.001).結論.本検討から,ゲフィチニブ投与を行う患者を選択する際,EGFR変異は重要な指標であると考えられる.