著者
津村 朋子 矢野 匡亮 市原 周治 大谷 弘樹
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.112-116, 2019 (Released:2019-02-28)
参考文献数
18

肛門周囲に発生した巨大尖圭コンジローマの1例を経験したので報告する.患者は25歳,男性.肛門周囲の掻痒感を認め,その後,肛門周囲皮膚の隆起に気付いた.徐々に隆起が増大し,1年を経て,肛門部腫瘤を主訴に当科を受診した.腫瘤は肛門周囲の左右両側の皮膚から発生し,14×6cm大,カリフラワー状で弾性軟,悪臭を伴い,灰白色からピンク色を呈していた.肛門管内や直腸に腫瘍の増殖や進展は認めなかった.巨大尖圭コンジローマの診断で外科的切除を施行した.腫瘤より約1cmのmarginを確保し,主に皮下脂肪織浅層の深さで腫瘍を切除した.病理組織所見では,角化上皮の乳頭状増殖を認め,表皮上層にkoilocyteを認めた.基底細胞層の乱れや異型性はなく,悪性像は認めなかった.術後経過は良好で,術後3日目に退院した.術後4年が経った時点で,再発は認めてない.
著者
大谷 弘樹 岡田 真典 小林 成行 久保 雅俊 宇高 徹総 白川 和豊
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.843-846, 2010-09-30 (Released:2010-11-09)
参考文献数
13

症例は,75歳,女性。約30年前に胆石症にて開腹手術を施行。約20年前より腹壁瘢痕ヘルニアがみられていたが放置しており,徐々に巨大化していった。数年前頃から食後に嘔吐をくりかえしていたが,今回は症状の改善がみられずイレウスと診断され当院紹介入院となった。来院時,BMI 37.3kg/m2と高度肥満であり,腹部には巨大な腹壁ヘルニアを認めた。腹部CT検査では,12×12cm大のヘルニア門がみられ,拡張した胃や小腸の大半がヘルニア嚢内に脱出していた。保存的治療にてイレウスが改善した後,Composix Kugel Patch XLを用いて腹壁瘢痕ヘルニア根治術を施行した。術後は集中治療を行い腹部コンパートメント症候群による呼吸機能障害や循環器障害などを発症することなく良好に経過した。
著者
豊岡 伸一 高野 利実 高坂 貴行 堀田 勝幸 松尾 恵太郎 市原 周治 藤原 義朗 宗 淳一 大谷 弘樹 木浦 勝行 青江 啓介 谷田部 恭 大江 裕一郎 光冨 徹哉 伊達 洋至
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.409-415, 2009 (Released:2009-10-08)
参考文献数
20

目的.ゲフィチニブ投与患者では上皮成長因子受容体(EGFR)変異例で予後が良いことが報告されている.一方,喫煙,性差はEGFR変異に影響し,さらに,肺癌の予後因子であることが示唆されている.本研究では,EGFR変異,性差,喫煙が,ゲフィチニブ治療を受けた肺腺癌患者の生存期間に与える影響を検討した.対象と方法.ゲフィチニブにより治療された肺腺癌患者362例において,EGFR変異,性差,喫煙が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)に及ぼす影響を評価した.結果.EGFR変異は169例(46.7%)に認めた.多変量解析では,変異例で野生型例に比べOSおよびPFSが有意に長かった(P<0.001).EGFR変異の有無による群別で性差,喫煙量は,OSおよびPFSの延長とは関連がなかった.一方,性別,および,喫煙により分類した群別での解析では,EGFR変異は,OS,PFSの延長と有意な関連を認めた(P<0.001).結論.本検討から,ゲフィチニブ投与を行う患者を選択する際,EGFR変異は重要な指標であると考えられる.