著者
須田 孝徳 石井 裕明 外川 拓 山岡 隆志
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.60-71, 2021-09-30 (Released:2021-09-30)
参考文献数
26

消費者が使用するデバイスの多様化とともに,デバイスが消費者行動に及ぼす影響に注目が集まっている。本研究では,デバイスの違い(スマートフォン/PC)が消費者の解釈レベルに及ぼす影響を検討するとともに,デバイス特性と解釈レベルの一致が,消費者の評価や行動に及ぼす影響について検討する。本研究では3つのオンライン実験と,1つのフィールド調査を通した検証を試みる。研究1では,スマートフォン(vs. PC)で対象を見たとき,消費者はその対象をより近いと知覚することを明らかにする。研究2では,スマートフォン(vs. PC)を使用した場合,消費者の解釈レベルが低次になることを確認し,研究3では,スマートフォン(vs. PC)の使用が,低次の解釈レベルに対応した広告の評価に正の影響を及ぼすことを確認する。最後に研究4では,実際の購買データを分析することで,研究1~3で得られた知見の実務への応用可能性を検討する。
著者
須田 孝徳
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.73-80, 2022-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
38

本研究では,過去10年においてマーケティング研究で行われた混雑感知覚(Perceived Crowding)に関する研究をレビューする。混雑感知覚の研究を,混雑感が消費者の認知・感情に及ぼす影響,消費者の功利的・価値表出的行動に及ぼす影響,推論の手がかりとしての混雑感の3つの視点に分けて整理した。レビューの結果として,混雑感知覚の研究は店舗内購買行動研究から消費者の情報処理や意思決定を対象とした研究に,領域が拡張されていることを確認した。また今後の課題として,推論の手がかりとしての混雑のより詳細な議論の必要性,今日的な店舗研究と混雑感知覚を取り上げた研究が少ない,混雑感知覚の研究が購買意思決定の段階に沿って進められて議論がなされていない,の3点を指摘した。本研究の結果は,マーケティングにおける混雑感知覚の概念を説明し,この分野の実証研究を網羅的にレビューすることで,混雑した小売店環境や消費者行動の理解に役立つ知見を整理している。
著者
權 純鎬 河股 久司 須田 孝徳
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.51-62, 2023-01-10 (Released:2023-01-10)
参考文献数
33

コード型モバイル決済サービス(以下,決済サービス)の普及とともに,各社によるポイント還元型のプロモーションが頻繁に行われている。そのため,ポイント獲得を目的とした短期的利用者が増えており,決済サービスの利用定着率の低さが課題となっている。本研究は決済サービス利用時におけるタッチ・インターフェースへの接触に注目し,コントロール感および心理的所有感の向上によって決済サービスの再利用意向を高められるかを検証する。2つの調査を実施した結果,画面への接触回数が増加する金額入力型の決済方法は(vs. 金額非入力型),決済サービスに対するコントロール感を高め,コントロール感の知覚は心理的所有感を高めることが示された。また,画面接触によって知覚された心理的所有感の向上は,決済サービスへの再利用意向を高めることが確認された。