著者
飛内 悠子
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アフリカレポート (ISSN:09115552)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.5-17, 2023 (Released:2023-02-17)
参考文献数
15

クク人(Kuku)は南スーダン最南端、ウガンダとの国境地帯を故地とし、植民地化や内戦等、さまざまな要因により移住を繰り返してきた。とくにウガンダへの移住は1930年代から行われ、ウガンダ国籍を持つクク人も多い。本稿は2005年の第2次スーダン内戦終結後のウガンダからのスーダン(現南スーダン)人、とくにクク人の移住の実情を示し、彼らの移住史のなかにそれを位置づける。そして彼らにとって、第2次スーダン内戦終結後、国際機関とウガンダ政府の主導によりなされたウガンダから南スーダンへの「帰還」は、いかなる意味を持ったのかについて検討する。さらにそれをとおし、定住を前提として帰還支援を行うこと、ならびに「持続可能な帰還」を提唱することの問題を指摘する。
著者
飛内 悠子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.115-126, 2021

<p>In the past, Christianity was viewed by some as a "Repugnant Cultural Other" in anthropology studies, while others believed it should fall within this field. Against the background of the self-reflection of anthropologists, the number of anthropological studies of Christianity increased rapidly around the 1990s; however, these studies essentially objectified Western Christianity, classifying non-Western Christianity as "Other". The "Anthropology of Christianity" began around 2000 by reflecting critically on the attitude of these studies, but is yet in a nascent stage and faces problems. Nevertheless, it has a certain significance in that it enables us to rethink modernity—even anthropology itself—because there remain certain dichotomies such as modernity and non-modernity, Western and non-Western, and secular and religious. As they also confuse these dichotomies, non-Western anthropologists could contribute to this process of rethinking by joining the "Anthropology of Christianity".</p>
著者
飛内 悠子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

南スーダン、ウガンダ国境地帯に位置するカジョケジ郡では、従来先祖崇敬やウィッチクラフトが存在したが、聖公会リバイバル運動の流入によってこれが否定されるようになっている。一方、人々は「神」の力でとり憑く悪魔を払おうとする。このキリスト教徒たちの「呪術」的実践とそれをめぐる言説を見ていくことによって、キリスト教における「呪術」のありようを提示し、キリスト教の人類学と呪術の人類学を架橋することを目指す。