著者
塚本 悠太 川村 新 飯國 洋二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.95, pp.43-48, 2006-06-08

本稿ではMAP推定に基づく新たな音声強調手法を提案する.従来は長時間音声データによって音声スペクトル分布を一意に決定していたため,音声区間における音質や非音声区間における雑音除去性能が劣化するという問題があった.この問題を解決するために,周波数全体のパワースペクトルを基準とし音声スペクトル分布を動的に変化させる方法を提案する.提案法では,音声スペクトル分布を非音声区間では指数分布に近づけることによって,優れた雑音除去性能を実現する.また,音声区間ではレーリー分布に近づけることによって,音質の劣化を抑えることが可能となる.
著者
釜森 勇樹 川村 新 飯國 洋二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.57, pp.35-38, 2009-05-21

本論文では,ゼロ位相信号解析による広帯域雑音の除去について検討する.ゼロ位相信号とは,全周波数成分の位相をゼロに変換した信号であり,観測信号の振幅スペクトルの逆フーリエ変換として定義される.ゼロ位相信号へ変換することにより,振幅スペクトルの周波数軸方向の周期性を解析し利用することが可能となる.筆者らは,ゼロ位相信号解析の応用例として,白色雑音およびインパルス雑音に対する雑音除去法を提案してきた.本論文では,ゼロ位相信号解析によって,より一般的な広帯域雑音の除去が可能になることを示す.
著者
干場 圭太郎 川村 新 飯國 洋二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.64, pp.31-36, 2007-05-17
被引用文献数
4

自動採譜システムを実現するためには,音高推定技術が不可欠である.音高推定技術とは,楽音の基本周波数を推定する技術のことである.従来の研究では,楽音データを周波数領域に変換してから,基本周波数を求めることが多い.しかし,楽音の平均律音階の隣り合う音高の基本周波数比は2^<1/(12)>であり,その周波数配置は等間隔にならない.そのためFFTなど等間隔の周波数成分を求める手法では,多重音の求めたい音高の基本周波数を直接求めることができず,周波数補正などの処理が必要とされる.また,この方式では,演算量の観点から音高推定のリアルタイム実現は困難である.これに対して本論文では,ノッチフィルタを利用した時間領域の音高推定法を提案する.提案法では,少ない演算量で基本周波数を求めることができ,音高推定のリアルタイム実現に適している.