著者
中元 隆明 飯塚 昌彦 Okamoto Shingo 桃木 茂 原澤 寛 加藤 士郎 長谷 達也 久我 英世 大野 邦彦 森 博美 斎藤 浩一
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.144-153, 1997

SpO<sub>2</sub>データを心電図と同時に24時間ホルター記録・再生出来る装置を開発し, 本装置の有用性につき健常者10例 (N群) で検討し (研究1), これを用いてN群及び慢性肺疾患患者7例 (CPD群) で低酸素血症と不整脈との関係につき検討した (研究2). 研究1: SpO<sub>2</sub>・心電図ホルターは携帯用ホルター装置 (SM50) を使用, 第1, 2chに心電図, 第3chにSpO<sub>2</sub>のデータを各々入力した. すなわちSpO<sub>2</sub>測定用センサ (D・25) を全対象例の第4指か第5指に装着し, パルスオキシメーター (MicrO2) で入手したSpO<sub>2</sub>データをディジタルコード化してホルター記録器に入力し, 心電図と同時に記録した. データの解析はホルター解析装置 (DMW-9000H) で行った. 又, ノイズエラーを自動的に削除する解析プログラムを考案, 作成した. 研究2: N群では24時間SpO<sub>2</sub>は90%以上を維持した. CPD群では全例, 夜間あるいは15分間歩行後にSpO<sub>2</sub>が90%以下を示した. 不整脈のうち一過性心房性頻拍 (TAT) はCPD 7例中3例で認められ, SpO<sub>2</sub>を低下させた. 心室性期外収縮の単発と2連発 (Ve) の全心拍数に対する発生率はN群に比して多かった (1.21±0.89 vs 0.6±0.3%, p<0.05) が, SpO<sub>2</sub>は低下しなかった. 本システムは外来及び在宅患者において呼吸不全と不整脈の診断を同時に評価可能であり, さらにCPDにおける desaturation の発現はTATを誘発する事が示唆される.
著者
大井田 史継 長尾 伊知朗 伊藤 譲治 小川 研一 飯塚 昌彦 久野 恒一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.712-718, 1992-06-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
8

今回我々は単独心房梗塞と思われる2症例を経験した.2症例とも心筋由来の血清酵素の明らかな上昇が見られたが,心電図において有意なST変化を認めず,P-Taの偏位と上室性期外収縮のみが見られた.その偏位はYoungらが述べた基準を十分に満たすものであり,かつ梗塞部位は左房前壁と推測できた.この偏位は4,5日で消失したが慢性期負荷心電図にて,2症例とも急性期と同じ誘導に,同様なP-Taの偏位を認め,時間の経過と共に改善した.この変化は心房の生理的構造および特性を考えると,単に左心房の虚血のみを反映しているのではなく,運動負荷により左心機能を代償する心房の形態学的変化の関与の可能性も示唆され,興味深い所見と思われた.