著者
飯塚 理恵
出版者
関西大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2020-04-24

知識の獲得に関わる善い性格を認識的な徳、知識の獲得を妨げてしまうような悪い性格を認識的な悪徳と呼ぶ。そのような知識をめぐる規範的な問いに取り組むのが徳認識論である。本研究は認識的な徳と悪徳をより明らかなものにし、いかに悪徳を回避できるのかを描くことを目指している。まず、悪徳の回避のために、社会を整備することの重要性を検討する。次に、徳認識論者はオープンマインドの徳(他人の意見を真剣に考慮すること)を推奨しているが、一方でわたしたちが親しい人々にのみ共感能力を発揮する傾向を持つという問題に取り組む。最後に、西洋社会の文脈でのみ行われてきた認識的謙遜の徳について日本の文脈における独自性を検討する。