著者
野崎 武司 飯村 敦子 細越 淳二 米村 耕平
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は、特別支援教育の知見を援用しながら、体育の学習集団論を再構築することにある。主な結果;①体育において「できる」「わかる」の系統性を教師が持つこと、習熟と認識の発展の節目で「わからせる」ための教材・教具を開発すること等、これまでの体育の学習集団論と授業のUD化との架橋による<授業のステップアップ化>が必要である。②子どもの認知特性等、子ども理解の診断的アプローチが必要である。③年間を通じて受容的・肯定的でかつ探究的な学級の風土を醸成することが必要である。若手教員には、多様な授業の考え方や、子どもを深く見取り、学級集団を組織していく教育技術とその習熟プログラムの開発が不可欠である。
著者
飯村 敦子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.7-13, 1994-03-31

我々は、ダウン症児の早期教育において、乳幼児期から豊かな感覚運動刺激を与え、子供にとっては、遊び的要素を含んだムーブメント活動の中で、その発達を援助することが可能であると考えている。そこで本研究は、乳児期からのムーブメント教育による指導を10年間にわたり継続してきたダウン症児(S.H児,男,昭和56年9月9日生)の発達の分析と、その指導経過について検討することを目的に取り組んだ。1982年11月から1992年12月までの指導期間は、対象児の発達課題とプログラム内容から5期に分けられ、各期についてプログラムターゲットおよび内容について記した。対象児の発達を分析した結果、運動・感覚、言語、社会性スキルの全面的な発達変化が確認された。また、対象児の運動スキルは、乳幼児期(7歳頃まで)を通して達成されたが、言語・社会性スキルの発達は、学童期(11歳頃)にかけて運動スキルの発達に追いつくという様相を示した。このことから、言語、社会性スキルの発達は、運動スキルの発達をベースとして促進されることが示唆された。