著者
清水 晶子 星加 良司 飯野 由里子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

当研究は、3.11以降の日本において「ナショナルなもの」の危機を契機に特定の身体を露骨に優先する言説が一気に顕在化し、一定の支持を集めてしまう社会状況を考察し、生や身体の選別や序列化をめぐる言説がいわば日常化しつつあること、「ナショナルなもの」の立ち上げは未だにその過程で大きな力を持つことを明らかにした。また、クィアスタディーズとディスアビリティスタディーズとのそれぞれの理論構築に内在する限界や問題を踏まえつつ、双方の領域の中心的課題である多様な生と身体の生存可能性の拡大に向けたさらなる領域横断的な取り組みの必要性を確認し、そのための理論的基礎を提示した。