著者
清水 晶子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、日本の性的少数者の政治言説を分析するとともに、個別の物理的身体をめぐる近接性の政治と「集団」における差異の政治とを接続しつつ、差異をもつ諸身体の共生と連帯の可能性を提示することを目的としたものである。具体的には、フェミニズム/クィアの政治が多様に異なる諸身体の共生と連帯をどのように模索したのか(あるいはそれに失敗したのか)を整理した上で、今世紀の日本におけるジェンダーとセクシュアリティの政治が女性や性的少数者の権利の承認を目指す中で、諸身体の差異をめぐる政治がどのように展開してきたのかを明らかにするとともに、マイノリティ身体にとっての近接性と連帯の困難と可能性についての考察を行った。
著者
河口 和也 釜野 さおり 菅野 優香 清水 晶子 石田 仁 風間 孝 堀江 有里 谷口 洋幸 菅沼 勝彦 吉仲 崇
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究グループでは、調査クラスタが、性的マイノリティに関する意識について学術的方法を用いた全国規模調査を2015年3月に行った。政策クラスタは、男女共同参画及び人権施策やそのなかで性的マイノリティに対する具体的施策の遂行状況に関する自治体悉皆調査を2016年5月に行った。これらのプロジェクト遂行には、理論クラスタからも質問票作成と調査結果公表時には、ワーディングや伝達方式において示唆を得た。全国規模の意識調査については、東京と京都において一般およびメディア向けに調査報告会を開催し、2016年6月に報告書『性的マイノリティについての意識―2015年全国調査』として代表者のウェブサイトで公表した。
著者
清水 晶子 星加 良司 飯野 由里子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

当研究は、3.11以降の日本において「ナショナルなもの」の危機を契機に特定の身体を露骨に優先する言説が一気に顕在化し、一定の支持を集めてしまう社会状況を考察し、生や身体の選別や序列化をめぐる言説がいわば日常化しつつあること、「ナショナルなもの」の立ち上げは未だにその過程で大きな力を持つことを明らかにした。また、クィアスタディーズとディスアビリティスタディーズとのそれぞれの理論構築に内在する限界や問題を踏まえつつ、双方の領域の中心的課題である多様な生と身体の生存可能性の拡大に向けたさらなる領域横断的な取り組みの必要性を確認し、そのための理論的基礎を提示した。
著者
相澤 保代 清水 晶子
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.223S-224S, 2003-01-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1
著者
風間 孝 菅沼 勝彦 河口 和也 堀江 有里 清水 晶子 谷口 洋幸 釜野 さおり 石田 仁
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、セクシュアリティおよびジェンダーの軸と、階層・階級、人種・民族、地域、国籍といった軸とを交差させるなかで、日本においてクィア・スタディーズを展開していくことを目的とした。その結果、法制度や社会調査、社会制度設計において、理論研究と実証研究の問題意識とが交流のないままに研究が進められている現状が明らかとなり、研究成果を他の学問分野および(市民)社会領域と交流させていくことの意義と緊要性が確認された。
著者
清水晶子著
出版者
文藝春秋
巻号頁・発行日
2022
著者
清水 忠博 清水 忠治 清水 晶子 中澤 功
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.2549-2553, 2006-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
18
被引用文献数
5 7

乳腺腫瘤を形成する肉芽腫性乳腺炎(granulomatous mastitis)は稀な疾患で,癌との鑑別が問題となることがある.今回われわれは画像診断上乳癌が疑われ,治療経過中結節性紅斑を併発し副腎皮質ホルモン療法が著効した肉芽腫性乳腺炎の1例を経験したので報告する.症例: 41歳,女性.既往歴:十二指腸潰瘍.鬱病.現病歴: 2002年8月20日より右乳房に張り感,圧痛を伴う腫瘤を自覚し8月22日当院受診.現症:右C領域に大きさ38×26mmの軽度圧痛を伴う弾性硬な腫瘤を認めた.超音波検査:右乳腺CE領域に一部境界不明瞭,不整形,内部エコー低な腫瘤を認めた. MMG:局所的非対称陰影(カテゴリー3)と診断. CT:右乳房CEに36×26mmの大きさで早期より造影効果を示し,辺縁に棘状構造を伴う悪性を否定できない腫瘤を認めた.経過:初診時乳腺穿刺吸引細胞診はClass III, 7日後圧痛増悪時はClass IIであった.画像診断上癌も否定できないため,確定診断の目的で生検施行.病理組織診断は肉芽腫性乳腺炎であった.また同組織を用いて行った細菌検査では,一般細菌,抗酸菌ともに陰性であった.抗生剤(CFDN),消炎剤の投与を行うも生検創および腫瘤の改善はみられなかった. 1カ月後両下肢に熱感,紅斑を伴う皮下結節が多発し結節性紅斑と診断.プレドニゾロン10mg/日より開始した.結節性紅斑は速やかに消失し,肉芽腫性乳腺炎も徐々に縮小した.
著者
風間 孝 クレア マリィ 河口 和也 清水 晶子 谷口 洋幸 堀江 有里 釜野 さおり 菅沼 勝彦 石田 仁 川坂 和義 吉仲 崇
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

英米起源のクィア・スタディーズを日本の文化・社会において適用する場合の可能性を明らかにするために研究を行った。その結果、(1)ナショナリズムとグローバリゼーションに関わる問題系が、日本におけるジェンダーやセクシュアリティの政治的・文化的な統御と管理とを考えるにあたっても欠かすことのできない問題として急激に浮上しつつあること、(2)セクシュアリティおよびジェンダーが階層・階級、人種・民族、地域、国籍といった軸と交差しながら存在しているとの視座から研究を進めていくことの重要性、を確認した。