著者
首藤 文洋
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ヒトに心地よさを感じさせる音を被験者に提示すると、被験者の前頭葉酸素ヘモグロビン量の変動が相対的に小さくなる。被験者はその音を「気分がよい」と評価したと考えられる。これらの音のうち、川のせせらぎの音をマウスに提示すると、情動に深く関与するセロトニンやノルアドレナリンの脳内濃度が変動していた。これらのことは音刺激には本能システムにはたらくことで心地よさを感じさせる脳機能メカニズムに作用するモノがあることを示唆しており、これらの音を使うことで多くの人が安らぎを感じられる音環境が設計できる可能性が示された。
著者
久野 節二 野上 晴雄 首藤 文洋 大島 直樹 山中 敏正
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

快い匂い情報の受容が感性を発現する脳活動に与える効果について、本能の上位機構としての前頭葉と実行機構としての視床下部を中心に研究した。ヒト脳に関する光トポグラフィ解析では柑橘類の匂いの受容が前頭葉の神経活動を鎮めることが示唆された。また、動物実験では同種の匂い受容が視床下部のストレス反応を調節する神経細胞の活動を鎮静化することが示された。今後は、人間のストレス反応に対する効果を検証する必要がある。
著者
首藤 文洋
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

これまでの感性評価法では、個人差がある主観評価に頼らざるを得なかった事とその脳機能の物質的背景の解明に必要な動物実験では個人差を作り出す後天的経験による情動反応を調べる方法が殆ど無いことが要因であった。そこで、音刺激によるヒトの視覚イメージの評価をメインタスクとして、主観的な感性評価と客観的な生体反応計測による情動反応との連関について調べる新たな感性評価方法を確立すると共に、後天的な要因により体験に関連して誘導された情動反応の脳機能を解析できる動物実験モデルを開発した。