著者
上田 雅道 竹内 有子 落合 淳 馬渕 千之 丹羽 淳一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.651-653, 2015 (Released:2015-09-11)
参考文献数
4
被引用文献数
3 3

症例は25歳女性である.右側腹部から背部にかけてのしびれを主訴に受診した.タイ,ラオスへの旅行歴があり右第6胸髄から第12胸髄のデルマトームにかけてしびれと温痛覚低下,振動覚低下を認めた.髄液検査で好酸球増多と脊髄MRI T2強調画像(T2WI)では第8胸髄から第12胸髄にかけて高信号域を認め好酸球性脊髄炎と診断しステロイドパルス療法を行い臨床症状は軽快した.抗寄生虫特異抗体は陰性であったが,アレルギー疾患,自己免疫性疾患の所見を認めず,病歴,臨床症状と検査所見から寄生虫感染症,特に広東住血線虫による脊髄炎が疑われた.