- 著者
-
高井 逸史
- 出版者
- 一般社団法人 日本老年医学会
- 雑誌
- 日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.3, pp.220-225, 2010 (Released:2010-07-05)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
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目的:転倒恐怖感は様々な活動制限を来たし,転倒そのものよりも深刻な問題として近年注目されている.転倒経験者は転倒恐怖感のほか注意能力低下も報告されている.そこで転倒歴のある要介護高齢者を対象に注意課題を伴うバランス練習が転倒恐怖感に影響を及ぼすか検討した.対象:転倒を経験した施設要介護高齢者22名(男性3名,女性19名,平均年齢83.1±5.2歳)とした.方法:被験者をバランス練習のみの運動群と,口頭指示と内省報告による注意課題を伴うバランス練習を注意運動群の2群に分け週3回の5分間,10週間実施した.転倒恐怖感(Fall Efficacy Scale;FES),Functional Reach Test(FRT),Timed Up & Go Test(TUG),10 m歩行時間を介入前後に計測した.結果:両群ともFRTは向上したが(p<0.05),注意運動群のみTUGが向上し(p<0.05)転倒恐怖感が減少した(p<0.05).結語:転倒歴のある要介護高齢者の転倒恐怖感軽減には,バランス能力向上のほか,注意機能向上も必要と考える.