著者
茂木 正人 真壁 竜介 高尾 信太郎
出版者
低温科学第76巻編集委員会
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.71-93, 2018-03-31

本稿では,南大洋における生態系研究の現状と課題を整理した.南大洋の生態系を論じるうえで最も重要な種はナンキョクオキアミであるが,近年ハダカイワシ科魚類が注目されている.日本の生態系研究チームはハダカイワシ科の中でも季節海氷域に分布するElectrona antarctica(ナンキョクダルマハダカ)をターゲットのひとつとして研究しているが,その繁殖生態や初期生活史については未解明の部分が大きい.季節海氷域では海氷に含まれるアイスアルジーや海氷融解時におこる植物プランクトンの大増殖を起点に始まる食物網が存在する.海氷と海氷下の生態系は密接な関係があり,温暖化による海氷変動は生態系変動をもたらすことになる.
著者
西藤 勝 小野山 裕彦 西村 公志 嵯峨山 健 高橋 応典 中路 太門 高尾 信太郎 橋本 可成 安積 靖友 裏川 公章
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.32-35, 2001-01-01
参考文献数
7
被引用文献数
1

外傷生胆管狭窄はまれな疾患であり, 悪性胆管閉塞との鑑別が問題となる.今回, 我々は交通事故後に発症した外傷性胆管狭窄の1例を経験したので報告する.症例は70歳の男性, 乗用車を運転中, トラックに追突し右尺骨骨折にて入院, 腹部症状はなかったが, 14日後に黄疸が出現した.超音波, CTでは腫瘍像は明らかではないが, PTCD造影では下部胆管の狭窄と肝内胆管の拡張を認めた.減黄後の胆管造影でも狭窄は改善せず胆管癌と考えられた.胆汁細胞診でも悪性が疑われ, 下部胆管癌を考え膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本の所見では, 狭窄部では胆管壁が肥厚しなだらかな狭窄を示したが腫瘍性病変はなく, 組織学的にも悪性疾患は否定された.以上より, 交通事故の腹部外傷による胆管狭窄と診断された.本例は腹部打撲の程度が軽かったことも診断を困難とした一因と考えられた.