- 著者
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高尾 沙希
有賀 敦紀
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第13回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.84, 2015 (Released:2015-10-21)
我々の視覚システムは,他者の視線が向けられた位置に対して自動的に注意をシフトする(視線手がかり効果)。このように,視覚システムは顔などの社会的な刺激に対して感度が高く,非常に高速に処理することができると考えられている。本研究では,視線による注意のシフトと一般的信頼性の相関について調べることを目的とした。参加者の課題は,視線手がかりを無視しながら,顔の左右いずれかに呈示された標的の位置を報告することであった。その結果,手がかりと標的のSOAが117msの条件でのみ,視線手がかり効果が認められた。さらに,この非意図的な視線手がかり効果と一般的信頼性得点の相関係数を算出したところ,弱い正の相関が認められた。したがって,一般的信頼性は社会的刺激に対する非意図的な視覚情報処理と関連していると結論することができる。つまり,騙されやすさは比較的初期の認知プロセスに依存している可能性があることが示唆された。