- 著者
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二階堂 泰隆
佐藤 久友
高山 竜二
大野 博司
佐浦 隆一
- 出版者
- 理学療法科学学会
- 雑誌
- 理学療法科学 (ISSN:13411667)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.4, pp.549-553, 2011 (Released:2011-09-22)
- 参考文献数
- 27
- 被引用文献数
-
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〔目的〕パーキンソン病(Parkinson’s Disease: PD)の症状のひとつである前屈姿勢は動作の自由度を制限し転倒リスクを増加させる.近年,後進歩行運動によるPD患者の姿勢や前進歩行能力の改善が報告されているが,その効果の詳細は不明である.本研究の目的はPD患者に対する後進歩行運動後の即時的な姿勢及び姿勢制御の変化を明らかにすることである.〔対象〕前屈姿勢を呈するPD患者1名(Hoehn & Yahr重症度分類III)とした.〔方法〕課題は静止立位とFunctional Reach Test (FR),Cross Test (CT)とし,5分間の後進歩行運動前後に三次元動作解析装置と床反力計を用いて課題中の姿勢と重心の変化を測定した.〔結果〕後進歩行運動後の静止立位では身体重心,足圧中心の後方移動を認め,即時的に前屈姿勢が軽減した.また,FRでは足関節戦略による姿勢制御の割合が増加し,CTでは前後方向,特に前への身体重心,足圧中心移動距離の増加を認めた.〔結語〕後進歩行運動は前屈姿勢の軽減と足関節を主とした姿勢制御能力を向上させ,安定性限界の範囲を拡大させる可能性がある.