著者
田中 未央 厳島 行雄 高島 翠
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.177-177, 2007

過去の出来事を想起する際に嘘をつくと,オリジナルの出来事に関する記憶が抑制されることが示されている(Christianson & Bylin, 1999)。先行研究では,語り手は嘘をつく際に2つの方略を併用していることが示されており,田中(2005)では,語り手が使用する嘘の方略を統制した実験を行い,嘘をつく際に「知らないふり」をすることによってオリジナル記憶のリハーサルが妨害されると,後の記憶が抑制される可能性を示した。目撃証言に関する先行研究では,想起の対象によって記憶の正確さが異なることを示している(Yuille & Cutshal, 1986)ことから,嘘の対象が異なる場合にも後の記憶の正確さに違いがみられると考えられる。よって,本研究では嘘の対象を統制した実験を行い,嘘の対象が異なる場合の記憶を比較する。